過去問集の解説を読み、記載されている数式を見て、確かにこの金額(回答)に
なるけれど、「なぜ、この数字を使うのか。」「なぜ、この計算式になるのか。」
等が、腑に落ちない方、もやもやしている方向けに、これ以上詳しく書けない解
説を書いてみます。

問4
神戸建材株式会社は、甲製品、乙製品を製造販売しており、すべての原価要素に
ついて工程別組別総合原価計算(累加法)を採用している。次の<資料>に基づ
いて、下の設問に答えなさい。計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では
四捨五入せず、最終数値の円未満を四捨五入すること。・・・・工程別組別総合
原価計算とは、複数の種類の製品を複数の工程を経て製造する場合の原価計算で
ある。ただし、複数の種類の製品を製造するといっても、完全に別の製造設備を
使って製造するわけではなく、共通する工程(原価)もあり、分離している工程
(原価)もあることが前提である。(組別とは、そういう意味であり、完全に各
製品別に分離できる原価〔原材料など〕を組直接費とし、共通の原価〔加工費な
ど、適切な基準により按分して配賦する原価〕を組間接費とする。

<資料>
1.生産に関する資料
第1工程
甲製品     乙製品
月初仕掛品       500kg(20%)  400kg(25%)
当月投入または前工程受入2,500kg    2,600kg
計           3,000kg     3,000kg
月末仕掛品       750kg(40%)  600kg(50%)
完成品         2,250kg    2,400kg
( )内は加工費進捗度を示す。

第2工程
甲製品乙製品
月初仕掛品       400kg(50%)  600kg(40%)
当月投入または前工程受入2,250kg    2,400kg
計           2,650kg    3,000kg
月末仕掛品        600kg(75%)  300kg(50%)
完成品         2,050kg    2,700kg
( )内は加工費進捗度を示す。

2.原価に関する資料
第1工程
甲製品乙製品
 (1) 月初仕掛品原価
原材料費195,000円 120,000円
組間接費 26,850円  12,000円
前工程費    ─     ─
 (2) 組直接費
原材料費852,000円 834,000円
 (3) 組間接費(加工費)は直接作業時間を基準に各製品に配賦しており、組間
接費の直接作業時間1時間当たりの工程別製品別配賦率および直接作業時間は次
のとおりである。
第1工程
甲製品  乙製品
間接費配賦率 750円   780円
直接作業時間 600時間  400時間

3.その他の計算条件
        1 原材料はすべて第1工程始点において投入される。
        2 月末仕掛品原価は平均法により評価する。

製品甲:第1工程の原料費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品500kg(195,000) 完成品2,250 kg(195,000+852,000-261,750=
785,250)
当月投入 2,500kg(852,000)月末仕掛品750 kg(@349×750 kg=261,750)

製品甲:第1工程の加工費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品500kg×20%=100 kg(26,850)
当月投入 2,250+300-100=2,450kg(750×600時間=450,000)
完成品2,250 kg(26,850+450,000-56,100=420,750)
月末仕掛品750kg×40%=300 kg(@187×300 kg=56,100)

甲製品の第1工程月末仕掛品原価:261,750+56,100=317,850
甲製品の第1工程当月完成品原価:785,250+420,750=1,206,000

製品乙:第1工程の原料費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品400kg(120,000) 完成品2,400kg(120,000+834,000-190,800=763,
200)
当月投入 2,600kg(834,000)月末仕掛品600kg(@318×600kg=190,800)

製品乙:第1工程の加工費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品400kg×25%=100 kg(12,000)
当月投入 =kg(780×400時間=312,000)
完成品2,400kg(12,000+312,000-36,000=288,000)
月末仕掛品600kg×50%=300 kg(@120×300 kg=36,000)

乙製品の第1工程月末仕掛品原価:190,800+36,000=226,800
乙製品の第1工程当月完成品原価:763,200+288,000=1,051,200

第2工程
甲製品   乙製品
(1) 月初仕掛品原価
原材料費  ─      ─
組間接費43,000 円32,300 円
前工程費238,250 円298,800円
(2) 組直接費
原材料費   ─     ─
(3) 組間接費(加工費)は直接作業時間を基準に各製品に配賦しており、組間接
費の直接作業時間1時間当たりの工程別製品別配賦率および直接作業時間は次の
とおりである。
第2工程
甲製品   乙製品
間接費配賦率  900円   950円
直接作業時間  480 時間  320時間

3.その他の計算条件
        1 原材料はすべて第 工程始点において投入される。
        2 月末仕掛品原価は平均法により評価する。

製品甲:第2工程の前工程費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品400 kg(238,250)
前工程受入 2,250 kg(785,250+420,750=1,206,000)
完成品2,050 kg(238,250+1,206,000-327,000=1,117,250)
月末仕掛品600 kg(@545×600 kg=327,000)

製品甲:第2工程の加工費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品400kg×50%=200 kg(43,000)
当月投入 2,050+450-200=2,300kg(@900×480時間=432,000)
完成品2,050kg(43,000+432,000-85,500=389,500)
月末仕掛品600kg×75%=450kg(@190×450 kg=85,500)

甲製品の第2工程月末仕掛品原価:327,000+85,500=412,500
甲製品の第2工程当月完成品原価:1,117,250+389,500=1,506,750

製品乙:第2工程の前工程費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品600 kg(298,800)
前工程受入 2,400kg(1,051,200)
完成品2,700kg(298,800+1,051,200-135,000=1,215,000)
月末仕掛品300kg(@450×300kg=135,000)

製品乙:第2工程の加工費(月末仕掛品原価は平均法により評価する)
月初仕掛品600kg×40%=240kg(32,300)
当月投入 2,700+150-240=2,610(@950×320時間=304,000)
完成品2,700kg(32,300+304,000-17,700=318,600)
月末仕掛品300kg×50%=150kg(@118×150kg=17,700)

乙製品の第2工程月末仕掛品原価:135,000+17,700=152,700
乙製品の第2工程当月完成品原価:1,215,000+318,600=1,533,600