過去問集の解説を読み、記載されている数式を見て、確かにこの金額(回答)に
なるけれど、「なぜ、この数字を使うのか。」「なぜ、この計算式になるのか。」
等が、腑に落ちない方、もやもやしている方向けに、これ以上詳しく書けない解
説を書いてみます。

問3
伊野建工株式会社で使用するM機械は、各工事現場で共通に使用されている。そ
の発生原価と生産能力に関する次の<資料>に基づいて、下記の設問に答えなさ
い。
なお、計算の過程で端数が生じた場合、計算途中では四捨五入せず、最終数値の
円未満を四捨五入すること。

1.当社は、機械運転時間基準の予定配賦率を用いてM機械関係コストを配賦し
ている。
・・・・予定配賦率を算出するための機械運転時間(基準操業度)をどう設定す
るかという問題。問題ごとに条件が変化するので、それぞれ適切な機械運転時間
を選定すること。問題1(実現可能最大操業度)、問題2(長期正常操業度〔5年
間〕)、問題3(次期予定操業度)。
2.当社で所有するM機械の台数は10台であり、1日の1台当たりの機械運転時
間は8時間である。1年間の作業可能日数は250日であるが、年間2,000時間の機
械整備等の不可避的な機械休止時間が生じる。
・・・・1日の1台当たりの機械運転時間は8時間に1年間の作業可能日数は
250日をかけると、8時間(1日当たり)×250日=2,000時間(年間)となる。「年
間2,000時間の機械整備等の不可避的な機械休止時間が生じる」という条件は、
10台分の年間機械運転時間のことである。(2,000時間×10台=20,0000時間のう
ち、10%の機械休止時間が発生し、実現可能最大操業度は、20,0000時間-2,000
時間=18,000時間(10台分、年間)ということになる。
3.各年度のM機械予定運転時間は次のとおりであった。
第1年度(14,000時間) 第2年度(14,000時間) 第3年度(15,000時間) 
第4年度(16,000時間) 第5年度(16,000 時間)
(注)M機械の運転は、第1年度初頭から開始されており、当期は第5年度であ
る。
4.当社では公式法変動予算を採用している。実現可能最大操業度におけるM機
械関係コストの変動費予算は5,400,000円、固定費予算は8,100,000円である。ま
た、当期のM機械実際運転時間は15,500 時間、M機械関係コストの実際発生額
は12,925,000円であった。なお、固定費から予算差異は生じなかった。

問題1 基準操業度として実現可能最大操業度を採用していた場合、当期の予定
配賦額、予算差異および操業度差異を計算しなさい。なお、差異については、有
利差異の場合は「A」、不利差異の場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入す
ること。
(差異の記入については、以下の問も同様とする)
固定費予算8,100,000円÷実現可能最大操業度18,0000時間=@450(固定費率)
変動費予算5,400,000円÷実現可能最大操業度18,0000時間=@300(変動費率)
予定配賦率は、(変動費予算5,400,000円+固定費予算8,100,000円)÷実現可能
最大操業度18,0000時間=@750
当期(第5期)の予定配賦額:@750×当期のM機械実際運転時間15,500時間=11,
625,000
当期(第5期)の予算差異:(@300×当期のM機械実際運転時間15,500時間+固定
費予算8,100,000)-実際発生額12,925,000円=-175,000(不利差異B)(注:
固定費から予算差異は生じなかった。)
当期(第5期)の操業度差異:@450×(当期のM機械実際運転時間15,500 時間-
基準操業度18,000時間)=-1,125,000(不利差異B)

問題2
基準操業度として長期正常操業度(5年間)を採用していた場合、当期の予定配
賦額、予算差異および操業度差異を計算しなさい。
・・・・長期正常操業度(5年間)=(第1年度(14,000時間)+第2年度(14,
000時間) +第3年度(15,000時間)+第4年度(16,000時間)+第5年度(
16,000 時間))÷5年=15,000時間
固定費予算8,100,000円÷長期正常操業度(5年間)15,0000時間=@540(固定費
率)
変動費予算5,400,000円÷実現可能最大操業度18,0000時間=@300(変動費率)
(注:変動比率を5,400,000÷15,000=@360としないことがポイント。変動比率は
総合度に左右されないため@300を使用)
予定配賦率は、変動費率@300円+固定費率@540円=@840
当期(第5期)の予定配賦額:@840×当期のM機械実際運転時間15,500時間=13,
020,000
当期(第5期)の予算差異:(@300×当期のM機械実際運転時間15,500時間+固定
費予算8,100,000)-実際発生額12,925,000円=175,000(不利差異B)(注:固
定費から予算差異は生じなかった。)
当期(第5期)の操業度差異:@540×(当期のM機械実際運転時間15,500 時間-
基準操業度15,000時間)=270,000(有利差異A)

問題3
基準操業度として次期予定操業度を採用していた場合、当期の予定配賦額、予算
差異および操業度差異を計算しなさい。
次期予定操業度は、直近の見込み(予算積算の操業時間)16,000 時間
固定費予算8,100,000円÷次期予定操業度16,000 時間=@506.25(固定費率)
変動費予算5,400,000円÷実現可能最大操業度18,0000時間=@300(変動費率)
(注:変動比率を5,400,000÷15,000=@360としないことがポイント。変動比率は
総合度に左右されないため@300を使用)
予定配賦率は、変動費率@300円+固定費率@506.25円=@806.25
当期(第5期)の予定配賦額:@806.25×当期のM機械実際運転時間15,500時間=
12,496,875
当期(第5期)の予算差異:(@300×当期のM機械実際運転時間15,500時間+固定
費予算8,100,000)-実際発生額12,925,000円=175,000(不利差異B)(注:固
定費から予算差異は生じなかった。)
当期(第5期)の操業度差異:@506.25×(当期のM機械実際運転時間15,500 時間
-基準操業度16,000時間)=-253,125(不利差異B