隈研吾氏の講義を聴いて 2 | イタリアデザインの深読み 竹下彬史

イタリアデザインの深読み 竹下彬史

海外進出を目指す方々は必見です!
イタリアデザインを中心に、イタリアの文化、歴史に触れていきます。
そこから見える今日の日本のデザイン、デザインにおける日本とイタリアの関係も解説していきます。

隈氏の建築の特徴として、現地で採れる素材を可能な限り使用していることです。広重美術館
の木ルーバーは全て美術館の裏山の木を使用しており、壁面に使用されている和紙も地元のものを使用しています。

20世紀は消費の時代であったとも隈氏は言っています。ガラスの量産化に始まり、化学的な人工素材など、様々な素材が生まれ使用され消費されてきた一方で、地域とは無関係な建築が乱立してしまったのです。ユニバーサルデザインと言われるものです。地域性を排除したことにより、どこでも経済的に、誰もが使える建築を建てる事が可能になり、東京、ロンドン、NY、あるいは中東の砂漠や、サバンナの真ん中に同じ様相で無機質な近代建築を出現させてきました。それは、地域や民族性、歴史や習慣、伝統などを一切無視してきた行為だったのです。

20世紀に失ってしまった、「場所性」を取り戻す手法として、現地の素材を使う事が隈氏の建築では重視されています。


また、隈氏はヒューマンスケールの小さい建築が今後のテーマであると述べています。その中で人間の身体と建築の関係についても言及しており、人間が共感出来る造形を探るにあたって、オーガニックな形を無視できないと言っています。人間や植物の体が小さな細胞の集合体であるのと同じように、建築もフラクタルなものの集積によって構成される事で、身体との関係はより接近すると言っていました。さらに、1ユニットで全て構成し切る事が重要で、形の重要性は低いということです。

2005年のミラノでのパビリオンCIDORI では日本の組木工法を使用しています。

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愛知のプロソミュージアム・リサーチセンターでは6cmx6cmx150cmの組み木材を同じ技法を使い集積しています。

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非常に抽象度の高い建築になっていると思います。このようなモヤモヤしてボケボケしている表現はまるで、環境にとけ込んでいる様でもあり、また建築が景色の一部になり気配を消そうとしている印象を受けます。前回のブログでも述べましたが、日本建築の特徴は自然に対し抗わない精神です。とても脆弱で今にも自然に消えてなくなりそうな様相ですが、私は逆にそれが日本建築の持つ「強さ」であり、日本が世界に誇るべき特徴であると感じています。




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