再生稼ぎ、インプ稼ぎと千代田区長選
2025千代田区長選は現職ひぐちたかあき氏の勝利でしたが、今回の選挙は2024兵庫県知事選と似たところがあり、異様なネット選挙でした。
現職区長の失政とはいいがたいことを、針小棒大に、歪曲して攻撃し続けた候補がかなり食い下がったことはまさに民主主義の危機と言っていいでしょう(歪曲した候補は世間的に知的レベルが高いとされる専門職の方であることも衝撃的でした。今後、良い師匠に師事され、熱意をまっとうな方向に傾ければ、政治家として成長される可能性を秘めているのではないかと個人的には思います。ぜひ、自分は一人前だなどと思わずに、まっとうな政治家の門をたたいて修行してください)。
歪曲サイドを支えたのが再生回数稼ぎ、インプ稼ぎの人々です。
また、この再生回数稼ぎの人々の誤った、あるいは候補の発言をさらに歪曲した投稿を候補がリポストするなどして拡散したことも今回の選挙の異様さを物語っています(リポストがなければギリギリの線でした)。
多くの有権者は拡散されていることなら事実かもしれない、と感じることがあるでしょうし、名誉棄損訴訟でも、「そう思っても仕方がない」というフェーズでの拡散は免責されるケースが特に政治マターでは多いため、野放しになりがちです。
また、歪曲する側はそれをわかってギリギリの線まで発信しまくるため、選挙をめぐる言論空間はいま、めちゃくちゃなものになってしまっています。
そのようななか、日経報道では「政府は5月までにSNSで広がる偽情報や中傷などを防ぐ指針をまとめる。短時間に拡散し広く影響を与えることへの懸念の高まりを受けて、どのような内容が権利侵害や違法になるか考え方を示す。選挙活動を巡っては並行して政党間で公職選挙法の改正も念頭に議論を進める。」とのことで、自公は都議選に間に合わせるつもりなのではないか、などと世間では言われています。
一方、今回の指針の検討を攻撃している人にもインプ稼ぎの人々が混じっていますし、一見、ごもっともなことを言いますので引っかかりそうになりますが、やはり、ネット空間の正常化のためには一定の規制は不可欠です。
ちなみに、ネット選挙課題先進国の韓国では、選挙期間中の偽情報拡散や誹謗中傷対策として、公職選挙法改正を重ねながら規制を強化しています。
2012年の韓国大統領選では、国家情報院が3,500以上の偽アカウントを使い反対派を攻撃した事例を踏まえ、サイバー選挙犯罪対応センターを設置し、SNS上の「偽ニュース」を24時間監視。候補者への虚偽情報流布には刑事罰を科す一方、有権者の表現活動は原則自由としつつも、選管委が違反内容を即時削除できる仕組みを導入しています。2024年にはSNS偽情報対策の具体的指針策定に着手するなど、民主的プロセスと規制のバランスを模索しているところです。