地方大学の学生(&高専)とITベンチャーの素敵な関係/地方という進路もいいかもしれない! | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

地方大学の学生(&高専)とITベンチャーの素敵な関係/地方という進路もいいかもしれない!

そろそろ大学入試の共通テストのリサーチを踏まえて進路を考える時期。今日は地方への進学について、特にIT系を志す学生の話である。
昨今はリモートワークが普及し企業とって、地方に立地することへのハードルが大きく下がっている。今後、特にITの分野では、人材が東京一極集中から分散化へとシフトしていく。現在、まさにその途上にある。
昨日はとあるベンチャーの社長のお話を伺った。この中身は論文のネタにするのでまた後日、なのだが、そこでの雑談でのお話。
これまでも様々な経営者の方々からうかがってきたこととも符合するのだが、ITベンチャーが地方に進出する際、その地域で唯一無二の存在になることができたり、あるいはその取り組みが地元メディアで大きく取り上げられたり、ということがあるから、という答えがしばしば返ってくる。
東京では、多少すごいことをやっても、それが地域の注目を集めたり、あるいはメディアに取り上げられると言うことはなかなかない。一方で、地方では、もちろん、マーケットの規模は小さいものの、やったことが注目を浴びるチャンスが多くなる。すぐに地元の役所からも声がかかったりする。何しろ、下手をしたら唯一のITベンチャーなのである。
さて、ITベンチャーが地方に進出する際に必須と言われるものがいくつかある。ネット環境、一定の交通の利便性、そしてもう一つ重要なのが人材の確保である。
このため、ITベンチャーの地方立地の際によくあるのが、理工系の大学の近隣に立地するというパターンである。具体例は、とりあえずおくとして、大学がある都市には比較的多くのベンチャーが立地をしている。
このベンチャー経営者の方とのお話で、はたと合点がいったのが学生の側のチャンスである。
都会では、あまりに多くのIT系企業があり、また、学生もたくさんいるために、その出会いは容易なようでいて、簡単なものではない。有能な指導者は出会いを作ってくれるだろうが、これは運の要素も強い。選択肢が多すぎると言う事は、選択しないということにもつながっていくわけである。
一方で、地方では、大学も1つ、企業も数社と言う中で、目立った活動していれば、当然、そこには、アルバイトやインターンとしての経験を求めて学生たちがやってくるわけである。
一昔前であれば、先端的な研究をしようと思えば、そのフィールドは、いわゆる研究費の多い大手の大学に限られていた面がある。しかしながら、昨今は特にIT系に関しては、大学に入学後、早い段階から地方のベンチャーとの出会いがあり、また実践的な経験がし得るという意味で、地方大学の理工学部、特にシステム系などの学科に進学することには大きなチャンスが転がっているのではないかと感じた次第である。
すでに、国公立大学の二次試験の受付が始まっている。共通テストで思うように点数が取れなかった学生には、選択肢として地方を入れようかどうかと迷うケースもあるのではないかと思う。
その際に、これ学科にもよるが、地域の企業と大学の連携についてもウォッチしながら進学先を決めるという手があるのではないだろうか。
もちろん、受験生は暇ではないので、その際に活躍するのは、保護者や学校の先生だろう。
学力的に射程圏の大学の中で、地域連携など面白い話題を提供している大学は進学の価値があると考えてよいと私は思っている。
地方大学に進学することの意義は、他にもいろいろある。私も広島に来て感じたが、ここは確かに日本だが、地域の人々の文化も個性も強い。日本にも多様性がある、と体感するには文化圏を飛び越えて行くこともまた、良い経験になるだろう。何より、首都圏や関西から地方に行くということは、当然、行ったり来たりが生ずる。その過程、旅程もまた勉強になる。
進学後、早い段階から、アルバイトやインターンシップを通じて幅広い経験をし得るとともに、地域のベンチャー経営者と出会う事は、将来起業して稼いでいくと言うような場合のロールモデルを発見することにもつながっていくだろう。
地方大学はベンチャー経営者にとってチャンスであると同時に、ベンチャーを志す学生にとっても、ベンチャー経営者との出会いや、ベンチャー企業との出会いをもたらす面白い選択肢になっていると感じる場面が多い。
ただし、この話は大学による温度差が大きい、ということは忘れてはならない。だからこそ、先に書いたように、保護者や先生のリサーチ活動は不可欠なのである。ぜひとも、東京ではできない経験のできる地方都市と言う観点から、学校選びの幅を広げていただきたい。

 

追記 地域によっては高専が大きな役割を果たしている例もある。その意味で、当初から地域との一体的な学びをコンセプトに本年春に開学予定の神山まるごと高専は要注目なのだ。(2023年1月28日)