ソフトな予算制約~予算制約を一時的に緩和しても、いずれそのツケは税(や債権者)の穴埋めにより払う | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

ソフトな予算制約~予算制約を一時的に緩和しても、いずれそのツケは税(や債権者)の穴埋めにより払う

財政学や公共経済学の基礎で「ソフト・バジェット」問題というものがある。通常の経済主体では、個人であれ企業であれ、予算制約の中で自らの支出計画を考えなければならない。しかしながら、政府は国債発行により大規模な補正予算を平気で行っている。このような予算がゆるゆるの状況のことを言う。
予算(バジェット)がゆるゆる(ソフト)、つまり「ソフトな予算制約」「ソフト・バジェット」と呼ぶわけだ。もともと、ソフト・バジェットはハンガリーの経済学者コルナイが社会主義体制下の国有企業がいくら赤字でも政府の支援の下、破綻に至らない、という状況を踏まえて提唱した。
ソフト・バジェット問題は現代的には民間赤字企業の救済にも当てはめられる。不採算企業が政府に救済される際には「大き過ぎてつぶせない」論などさまざまな言い訳ものとで財政支出が行われるが、それは民間経営者にモラルハザードを引き起こすことがある。
さて、ソフト・バジェット問題は、予算制約を一時的に緩和しても、いずれはそのツケを税や債権者の穴埋めにより払うことになる、というのが結論である。仮に政府の通貨発行権が予算制約の天井を取っ払うのなら、そもそも政府に関してはソフト・バジェットは問題にならないはずである。ソ連は崩壊したが。