進む高校生の総合大学入試へのシフト。一方で、公立高校はというと… | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

進む高校生の総合大学入試へのシフト。一方で、公立高校はというと…

ある高校の進路指導の先生とお話をしていて切実だなと思ったのが、公立高校で課題となりつつある総合型入試への対応の負担の重さ。
私立の比較的人員体制の充実した高校であったり、あるいは都立のエンカレッジスクールを始めとする比較的少人数制の公立高校であれば、体験型学習のアシストをしたり、あるいはいわゆる出願書類、志望理由書へのきめ細やかな対応をすることはさほど難しいことではない。一方で、学力が中位から上のクラスの公立高校は、1クラスあたりの生徒数が多く、学校の人員体制も特段加配をされていないケースが多いわけであるから、一斉型の受験指導がメインで、たまにいるいわゆる指定校の生徒等をケアすると言うようなレベルの話においては、それはそれで十分に対応が可能なわけである。しかしながら、いわゆる総合型への多数の生徒のシフトより、一斉指導による、共通テスト及び二次試験への対応という従来型の試験への指導を夏休みや冬休みを含めて懸命に実施しつつ、さらに総合型への対応を強化していくということになると、今後人員体制の拡充でもしない限り、なかなか厳しい、という状況になっている。
正直なところ、私は総合型や指定校推薦への対応が手厚い私立高校等の人員体制について詳しくは知らないものの、推薦枠の獲得をはじめ、総合型入試から海外大学の受験まで、幅広く対応し、学力選抜以外の選抜で成果を上げているケースは多数ある。
しかしながら、少なくとも総合型への受験生のシフトは、このような形で公立高校の先生をパンクさせつつある、という事実がある。さらには現実問題として物理的に対応が不可能な場合には、せっかく本人が総合型を志したとしてもそれが十分に成果につながらないということにもなってくる。
私もわが子の大学入試で、このような対応が必要なタイプの試験について、家庭としてのアシストをしたことがある。まず、試験のしくみを確認し、戦略を立て、志望理由書を点検し、さらに+ αの点数を稼ぐためのエクストラの活動についても対応が必要であり、もちろん市長を務めながらであるから大したことはできなかったものの、それでも非常に大変だった。さらには、模擬面接なども何度も行って準備を重ねた。知人には、家庭のアシストだけでなく、専門の塾なども活用したケースのことを聞き、驚いた。もとより、このような指導は必ずしもすべての家庭でできるとは限らないわけである。
では金で解決は、となると、さらにハードルは上がるのでありから、日本の現実はすでに先日のニュース*の先を行っているかもしれない。

*テレビ番組「選挙ステーション2021」内で「学歴社会から経験重視の社会へ」と唱えた若手起業家がネット上で炎上した、というニュース。「偏差値の高い良い大学に入学できた人だけが高収入が保証された良い企業に入社できる」として、日本のペーパーテスト重視の入試制度を批判し、解決策として、アメリカのような個人の経験をもとに選抜する試験制度に変えるべきだと訴えたわけだが、「それは金持ちに有利な試験制度である」という趣旨の強い批判を浴びた。