鈴木一郎・宮瀧交二他『新羅郡の時代』刊行 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

鈴木一郎・宮瀧交二他『新羅郡の時代』刊行

鈴木一郎・宮瀧交二他『新羅郡の時代』刊行。
「続日本紀」に登場する新羅郡、これが新座であったり新倉であったりという朝霞地区四市の地名にも生きているわけですが、その誕生の背景には朝鮮半島の政治情勢があります。660年、百済は唐と新羅の連合軍によって滅ぼされます。その後、663年、旧百済勢力は大和朝廷の援軍とともに白村江で唐・新羅連合軍と闘い、大敗しました。
この混乱により、半島からは多数の渡来人が日本列島にやってきました。
本書によると、大和朝廷はこの状況を利用して、都に近いところに百済系の人々が住む百済郡を配し、敵対勢力出身者を住まわせた高麗郡、新羅郡は辺地である東国に配し、国家の権威付けに利用した、と言います。
ところが、この新羅郡の拠点がどこにあったのかがはっきりしない。ただ、周辺には確かに、様々な遺構が出るのです。そのひとつの集大成が本書ということになります。
監修者であり、分担執筆者でもある鈴木さんは和光市に奉職以来、一貫して文化財行政に邁進されました。その集大成ともいえる一冊。まだパラパラと目を通した段階ですが、本書のもととなっている2018年のシンポジウムで感じたワクワク感が再来するとともに、その後のさまざまな研究の成果も随所に配置されていたり、鈴木さんの後継者たちの成長も本書からはしっかり伝わってきます。
これから、じっくりと味わって読み込んでいきます。