遠隔教育の取り扱いを変えないと地方の教育環境は維持、改善できない→地方の若い人は減る一方 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

遠隔教育の取り扱いを変えないと地方の教育環境は維持、改善できない→地方の若い人は減る一方

地方都市に生活の拠点を構えてから、地方がらみのニュースに反応するのだけれど、ここ数日は地方の「県立高校の倍率確定」的なニュースに反応してしまう。
たとえば昨日のニュースだと、岩手県立高校は全体で0.9倍を切っている。

首都圏などを除く全国でこういうことが徐々に進展している。

この時期のネットニュースをよく見るとそれが手に取るようにわかる。
ちなみに、職場の近所の中堅進学校(埼玉だとイメージ的には和国とか浦和西ぐらいの高校)が去年から定員割れで、今年は0.8倍ぐらいになるらしいのだけれど、おそらく来年は定員が40人削られるかな、と予想。
何年かごとに40人ずつ削られていくと、あっという間に一学年200人ぐらいになってしまうのだけれど、そうなると、選択科目の維持が困難になってくる。
もっと減ると、どこかが統廃合になる。
私は田舎暮らしの本なども編集者として作ってきたのだけれど、地方移住者が一番困るのが子どもの教育であり、特に大学進学とか、大学進学のための進学校としての高校がある、というのが意外に難しい条件として移住者に立ちはだかる。
地方に人が暮らし続けるためのインフラとして、教育機関は必要不可欠だが、今のままでは地方から子育て世代がこぞって逃げ出すだろう。
さりとて、子どもが減るのに今までのままの教育機関を維持することはコスト的に難しい。
ということで、遠隔教育による単位の取り扱いをそろそろ劇的に変える必要があるよ、と感じている。
高校の選択科目を遠隔で受講することを普通にすれば、べつに1学年80人でも高校は維持できる。
また、へき地に居ながらにして大学の講義を大部分遠隔で受講し、あとはスクーリングで何とかする、みたいな状態なら、地方で子育ては完結する。もちろんへき地でもオッケーである。
もっと言うと、地方の現場に根差した講義を都会の学生が遠隔で受講するなら、地方創生の現場で頑張りたい都会の学生も増えるかもしれない。
ちなみに、地域みらい留学という高校生が地方の高校に進学するスキームがあるが、ここに以前は考えられなかったような地方の中核校が参加するケースが出てきている。
香川県はすべての県立高校に県外生の枠を作った。
実は、国土の広いアメリカでは、大学2年生までは地元のコミュニティカレッジ(2年制)で学び、そこで故郷を離れて一流大学に進学していく人々が多数いる。
さらに言うと、高校時代からコミュニティカレッジで学び、正式にそこに進学する頃には単位の半分以上を取ってしまっているスーパー高校生的な高校生が思いのほか多い。そうなると、21歳で大学を卒業して修士課程に行く、なんてことになる。
日本と違い、修士課程を出ているのは大企業などの就職では当たり前なので、こうなると一発逆転である。
アメリカ型がいいかどうかは別にして、遠隔教育の扱いとか、大学教育を高校生が受けて正式にそれが単位として認められるような制度改正が行われて行けば、教育が原因で地方に住めない、という家庭は確実に減っていくことになる。
地方で生活してみると痛感することだけれど、地方が選挙区の国会議員(岸田総理、安倍元総理、麻生元総理など)は東京生まれ東京育ち、東京在住だったりするので、地方民の教育のことなど眼中にないのである。

ぜひ、地方でガチで一家そろって生活していただきたいもの。できないなら、もっと生の声を集めていただきたい。

写真は現実に0.8倍となった某高校。和光市内にあれば入試の倍率は1.5倍ぐらいは行くかもしれない。高校の立地としては、政令市の中心から新交通システムで12駅、そこから急坂を20分弱登ったところ。
最近の傾向として、郊外かつ駅から遠い学校の人気は下がってきています。

また、地域柄としては、いわゆる都市の中心部の文化圏とイオンモール文化圏の境界線上かどちらかというとイオンモール文化圏寄りにあり、これが人気低下の要因になっている、と個人的には感じています。昨今の地方の高校生は都心を目指す傾向があるようです。