岸田さん「まず配分⇒成長したら分配する」で思い出すのはピケティの「r>g」 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

岸田さん「まず配分⇒成長したら分配する」で思い出すのはピケティの「r>g」

もはやだれもが存在すら忘れた感があったのがトマ・ピケティ。

トマ・ピケティは、18世紀まで遡ってデータを分析した結果、「r」の資本収益率が年に5%程度であるにもかかわらず、「g」は1~2%程度しかなかったと世界的なベストセラー「21世紀の資本」で指摘しました。

「r>g」という不等式は歴史から帰納的に導かれたもの。

「r」は資本収益率、「g」は経済成長率を示す。つまり、資本収益率は常に経済成長率を上回ってきた歴史的事実がある、ということ。

この不等式が意味することは、資産 (資本) によって得られる富、つまり資産運用により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早かった、そして、これからも早いだろう、ということであり、再配分しなければ、格差は自動的に拡大する、という身もふたもない事実を帰納的に語っています。

 

もともと経済学の世界では、資本主義で自由競争をやっていれば所得格差は縮小し、中産階級が出現して、みんながハッピーになる、というクズネッツの仮説が通説でした。ただ、この根拠は実は第一次大戦から石油ショックの直前までのデータに依拠していた。ピケティはもっと長い時代を分析して、クズネッツが分析した時代は例外だったと見破った(と称している)、というわけです。

 

岸田さんが中曽根-小泉という時代の価値観であるいわゆるシカゴボーイズとその亜流の価値観ではなく、「配分だ!」と叫んだ時、誰もがこのピケティを思い出した(のではないかと私は想像する)わけですが、その後、岸田さんは「成長したら分けるね」と変節。

あれ、ピケティではなくトリクルダウンだ、と皆はため息をつきましたとさ。

 

いずれにしても、岸田さんが「配分だ」と叫んで総裁になった事実はあるわけです。

総選挙も終わったことだし、岸田さんが総裁選の原点に回帰することを期待して雑文を閉じます。

出所 一億人の投資術ウェブサイト