「資産勘定の本質」と政府のこと | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

「資産勘定の本質」と政府のこと

「政府には資産がいっぱいあるから財政赤字ではない説」の人、一度BSの資産勘定の意味を勉強した方がいいと思う。資産の本質は(現金や普通財産の土地建物等今、サービスに提供されていないものを除くと)長期費用。短期の費用は(民間で言う)PLに出てくるのだけれども、長期の費用は貸方で調達した資金が長期間サービス提供のために固定されるものだから、売るようなもんじゃないのだ。
「道路は売れないでしょ」という説明もあるのだけれど、売れないからではなくて、売るものではない、というのが本質。もちろん、清算価値なのかどうなのか云々と議論し始めるときりがないのだけれど、ざっくり言うと、国民にサービスを提供するために長期間持っているもの(行政財産)の本質は「(ずっと続く)費用」だということです。
ちなみに国際会計基準委員会の日本代表だった川口順一先生は「貸借対照表は資産表示の一覧表ではなくて、資産のフィルターであるからである」「物財のあるものは消費され尽くして、フィルターを通過して損益計算書に流れ込むが、あるものはフィルターに引っ掛かって流出が止められる」(川口『財務会計論』p149)と表現している。私が言っているのではなくて、(一例として)川口先生の言なのである。
この「資産」というものの本質はぜひともお伝えしたいと思います。
ちなみに「国の借金」は慶應の土居先生がしばしばコメントしておられるように「地方の借金」と対になる言葉です。「中央政府の借金」と表現すべきなのかもしれないけれど、何しろ減収補填債とか交付税措置とかいろいろあるので、国と地方の財政は複雑に絡み合っている。正確に表現するのはなかなか容易ではないんですよね。