自民党総裁選に出馬される方々の会見雑感 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

自民党総裁選に出馬される方々の会見雑感

自民党の総裁選、私は党籍もないので外野の立場からじっくり会見を拝見させていただきました。雑感をメモします。
 
まず、菅さんの朴訥な会見にグッと来た地方出身者は少なくないのではないでしょうか。
 
「秋田の農家に生まれ地元で高校を卒業し就職のために東京に出てきた。働き始めた2年後に法政大学に進んだ。そして、議員秘書、38歳の時に横浜市会議員、地方分権の重要性を意識し47歳で国政に。地縁も血縁もないところから、まさにゼロからのスタートだった」
あらためて、近年まれにみる、心に入ってくるストーリーですね。言葉の浸透圧がすごい。
菅さんは超多忙で、勉強会のゲストとして予定されていても来れなくなるぐらいなので、会う機会というのは意外に少なくて、お話できたのも短時間であったけれど、その時も感じたのはいつも忘れえぬ地方への想い。まあ、私はふるさと納税に反対なのだけれど、地方の首長が集まるといつも盛り上がります。今回もそう言った溢れる想いが感じられる会見だったと思います。
 
岸田さんの会見はというと、あらためて格差や弱者への視点が強調されていたのが印象的だった。
 
「(安倍政権の経済、外交政策の成果を評価した上で)確かに成長の果実はトリクルダウンが生じて中間層や中小企業や地方にもこういった成長の果実が届くんだといわれ続けていましたが、なかなか実感できない。」
「格差の問題についても、子供の貧困、あるいは子供食堂などというものが話題になる。こういった時代に…しっかり立ち向かっていかなければならない。」
 
私は岸田さんのきわめて真面目な人柄に触れる機会が何度かあったのだけれど、あらためて本当に岸田さんらしい会見だったなあ、と。あらためて、いわゆる「ちゃんとした人」です。
 
石破さんのは理想論というか、一番理屈っぽくて、全部聞くのがしんどかった国民が多かったのではないか。そこが石破さんらしくもあり、石破さんの弱点でもある。
「私は都道府県にもっと権限を委譲すべきだと考える。どこで何が起こっているかは、都道府県が一番よく知っている。あるいは市町村かもしれない。…いかにして都道府県の権能を強化していくかも…」
ここが印象的だった。鉄道好き(私は鉄道一般が好きなのではなく、ディーゼル車と夜汽車が好きなだけ)なので自動的に10%加点(冗談なので絶対にまに受けないでくださいね)。
本質がオタクなのだと思います(褒め言葉)。「オタク」は凄い勢いで市民権を得つつはありますが、社会のメインストリームにまではなっていない。常に時代より一歩先に進んでしまっているのが石破さん。半歩先までの人なら現状の倍は受け入れられるものを…。
 
この非常に味わい深いメンバーで、派閥調整とかは国民に見せずにまずは政策でガンガン議論したら面白かったと思います。
自民党は盛り上がり、3人の人気は沸騰し、もちろん野党の合流ネタは木っ端微塵にされると思うのだけれど、政策論が脇に置かれているのが残念ですね。野党は命拾い。多分、皆さん、胸を撫で下ろしています。
自民党の若手が党員の投票を求めて動いていた時に、まあ無理だと思いつつ、万一、ドラマティックに「じゃあガチで論争して投票だ」となったら当分自民党の絶対的な天下だな、と感じていました。まあそんなことはもちろんないわけで…。
 
私が一度も政党に所属しないのはまさに、数の論理が優先され、理想とか政策とか理念が脇に置かれた活動になりがちだから。
やっぱりか、というのが偽らざる気持ちです。
 
ちなみに自民党の埼玉県連は伝統的に予備選をガチで行っておられ、大変好感が持てますね。