新型コロナ臨時交付金と不交付団体の不幸な関係
前のエントリーでは実際の交付限度額をお示しして臨時交付金に関する和光市(およびその他不交付団体)が置かれた財政的な不利益措置についてざっくりと説明しました。マニアックになりますが、続編として、具体的な算式を踏まえて当市の置かれた状況を説明します。
先日お示した「各地方公共団体の交付限度額」は、「国の補助事業等の地方負担分の算定額と地方単独事業分の算定額の合計額とする」とされています。
算式にはこちらでは推測するしかない、あるいは開示されていない項目がありますので、「単独事業分」について、差がつく部分を取り出してみてみましょう。
「単独事業分は、下記の算式により算定した額(五百円未満の端数があるときはその端数金額を切り捨て、五百円以上千円未満の端数があるときはその端数金額を千円として計算するものとする。)」です。
算式
4,800 円×人口×(0.3×A×B×α+0.7×C×β)×D
A~Cおよびα、βの根拠は画像参照。
D:(1.20-財政力指数)×0.8+0.2
(1.20-財政力指数)が零を下回る場合には、零とする。
要するに財政力指数1.20を頭打ちに、財政力指数が高いほど不利、低いほど有利な算式です。
仮に1.04として、この算式で導かれるのは0.248
これに対して、財政力指数が仮に0.7なら、0.6
ここで算式に戻ると、算出される数値の全体の7割について、財政力指数が0.7のよくある自治体と比較して倍以上の差がつくということになります(なお、武蔵野市なら財政力指数は1.5ですから、0.2となります。一方で、1.20の自治体もまた、0.2となります。この算式、1.20までの自治体は徐々に割落とされ、1.20を上回る自治体だと、それ以上は割落とされないことになりますね)。
さて、深刻なのはこれが新型コロナ対策の臨時交付金に関する算式の一部だということ。そして、新型コロナ対策に財政力指数もなにもない、というのが常識的な捉え方だと思うのですが、現実には判然とする範囲でもこれだけの差がついてしまうのです。そして、一人当たりの交付水準で言うと、同じ埼玉県内でも同じ一般市同士で2.5倍程度、町村の最大値とでは最大10倍の差がついてしまいます。
もっとも、今回の交付金では、この限度額は覆しようがありません。ただ、お読みいただいている皆さんには、この現状は知っていただきたいのです。今後のために。
そして、今日はここまで。
なお、官邸ウェブサイトに「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金制度要綱」全文がありますので、併せてご参照ください。