それでも山に行きますか!? | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

それでも山に行きますか!?

GWに「来ないで」と海や山を抱える自治体の首長が発信していますね。

ここではとりあえず山について。

山好きの一部が山は三密にならないから大丈夫、的なことを言って山に向かいそうなので、「行かないで!」という趣旨で、私なりにふと思い出したことや感じたことを書かせていただきます。

確かに、行列にならなければ山では人と人との距離が取れそうに思えなくもありません。

しかし、見落としていることがいくつかあります。

ひとつは山道の狭さです。このため、すれ違いや追い越し、休憩中の通過者との関係で息を切らしたほかの登山者の激しい呼気を至近距離で浴びる(あるいは浴びせる)ことになります。また、延々と他人の後ろを歩いたり、後ろから他人がついて来ることがありますね。

もう一つは山道にありがちな窪んだ地形や風通しの悪いブッシュの中の山道です。特にアプローチ部分では溝状の山道を歩いたり、低木が密生する風通しの悪い道を蒸れながら歩く、というケースを山好きなら想像できると思います。こういうケースでは先行者の激しい呼気が残存する(あるいは残存させてしまう)可能性はないでしょうか。

私は医療の専門家でもちゃんとした登山家でもありませんが、ふかし気味に言うなら、登山歴は1歳の六甲山からなので、49年ぐらいあります(笑)。冬山から沢、ハイキングまでいろいろと楽しんできましたが、特に喫煙者とのすれ違いや喫煙者の後を登った経験から、山は新型コロナに関しては危ないなあ、と感じています。煙草の煙は喫煙者が立ち去ってから数分間は登山道に残っています。また、休憩中の喫煙者の煙も通りがかるだけでかなりむせることがあります。煙とエアロゾルはもちろん、その振る舞いは同じではありませんが、それでもヒントにはなります。

今回の三つの密だけでなく、エアロゾルに関する様々な実験、さらにはスリップストリームの実験などいろいろな情報を総合すると、やはり山にはリスクはそれなりにあると思います。
(ちなみに、じゃあほとんど人の来ない岩登りとか沢歩きはどうだろう、と考えてみましたが、昨今は岩や沢もそこそこ混むようですね。数十分前の登山者がつかんだホールドにウイルスは残存していないでしょうか。)

あわせて、経験談を申し上げますが、実は恥ずかしながら20代の12月下旬の甲武信岳登山中に、入山時は元気だったものの、山中でインフルエンザを発症し、ふらふらになって下山した経験があります。一緒に登った友人I君にうつってしまい、I君は下山後発症しました。不慮の事故と言えば事故ですが、本当に申し訳ないことをしました。なにより、よく高熱が出て下山できたものだと思います。あれがアルプスの稜線なら下りきれなかったかもしれません。
今思えば、発症寸前から発症後の私の呼気を浴び、宿泊でも私と同じところにいたのですから、とんだ迷惑をかけたものです。

また、登山中はマラソンなどと同じでやはり疲労が蓄積しますから、感染症にかかりやすくなるという意味では、マラソンと同じではないか、と思います。
何より、何かあった時に救急隊も収容先の地方の病院も命がけになってしまいます。
山は、コロナが一息ついた時でいいのではないかと思います。