強毒性の鳥インフルエンザ用に作った特措法をそのまま適用することは適切ではない、が… | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

強毒性の鳥インフルエンザ用に作った特措法をそのまま適用することは適切ではない、が…

結局、新型コロナ対策の法律的な立て付けは、新型インフルエンザ等特別措置法の改正で行くようですね。そのまま適用可能、というのが野党筋とマスコミのメインストリーム考え方のようですが、はっきり申し上げて、法改正が正解であると思います。

なぜなら、もともと同法は立て付けが毒性の激烈に強い新型の高病原性鳥インフルやそれに準じた未知の感染症を対象としているからです。あくまでも人がバタバタ死ぬような強毒性のインフルエンザに対抗するために国に強権を与える仕組みになっているものであり、それを新型コロナに適用していい、というのであれば、そもそも一般論としての「人権」はどうなるんだ、というお話なのです。

そのまま新型コロナに使われると、新型インフルエンザ等緊急事態宣言により、国民活動に重大な縛りが行われる法律であること、もちろん自治体などへの縛りもきついことから、私もこの法律の適用は「しんどいな」と思っていました。もともとが強権的な要素の強い法律なんです。しつこいですが、強毒性の鳥インフルを想定して作った法律ですからね。逆にいうと、だからこのような立法が可能だった。
これを(強毒性のインフルエンザとは死亡者数が3桁は違う)新型コロナに使えます、とドヤ顔で言われると、「ちょっと待てや!」と言いたくなる。

ここまで読むと、「えっ?」と思いません?
そうなんです。「人権を踏みにじりうる判断」を野党が易々とやれます、というのもアレですが、与党の言い草にももちろん疑問符が付く。「新型コロナでそこまで人権に踏み込むのか?」という話なんですよ。要するに。
今の改正の方向性は本当にそれでいいのか、少なくとも皆さんは疑問を持ち、動向に関心を持ったほうがいいと思います。強毒性のインフルエンザなら経済や教育をぶち壊してまで対応する意義はある。何千万人も、あるいは数億人も救うのだから。
でも、新型コロナで20億人感染するとして、死者はどれくらいでしょうか。陽性の数と、死者の数をぜひ、ご自身で割ってみてください。圧倒的にマイルドな普通のインフルエンザと比較するような数字しか出ません。
対して、経済を壊してそれにより世界全体では何人死ぬだろうか、という想像力も必要です。

ちなみに、緊急事態宣言は自粛要請とは比較にならないインパクトだし、もちろん地方独自で地方の実情にあわせた政策判断をする裁量権はなくなってしまいます。

たとえば、現行法では緊急事態において「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」は、最終的には「まん延防止」の名のもとに学校や施設など多数の者が出入りする施設の使用を要請し、従わない場合には最終的には指示が出来ます。

本来、人権との兼ね合いを考えると、新型インフルエンザほどの毒性ではないものについて、勧告とか要請に法的根拠を与えるとか、よりマイルドな感染症への対応を書き込むことが筋なのではないかと、これは今の新型コロナウイルスの死亡率を見て、直感的に思うわけです。
もちろん、新型コロナウイルスは重大な脅威です。しかし、新型鳥インフルのそれとは少なくとも同等ではない。怖くないかと言われればそりゃ私もいわゆる中高年だから怖いです。
ただ、正しく怖がるべきだと思うんですよね。

もちろん、与党内の慎重論や野党内の異論が聞こえてくるのは、どちらにもまともな人間がいる証拠でありますが、今後出てくる法案や審議を思うとため息が出ます。