元和光市議 井上敬三さんが電子出版した戦争体験記を読む | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

元和光市議 井上敬三さんが電子出版した戦争体験記を読む

元和光市議で、ご近所さんの井上敬三さんの電子出版による著書「『日本は敗ける』と戦場で3度上官に言い切った それでも生きて帰れた」読了。
井上さんがシベリア帰りの元軍人だとは切れ切れにご本人からも聞いたことがあったものの、その体験の全容は知りませんでした。
初めてそのご労苦の詳細を活字ではあるものの、まるで井上さんに語りかけられているような感覚で、一気に読みました。
 
豊島区出身の井上さんは、東京府航空工業学校(今の都立産業技術高専)を卒業後、三菱重工で勤務。その後、昭和19年10月に招集令状を受け取り、幹部候補生として入隊。
ところが、最新鋭の機械化連隊に配属されたはずが、自動小銃すらなく、のちのソ連軍の侵攻により装備の違いに唖然とした、と言います。
 
入隊翌日の初年兵担当教官の面接では、「太平洋戦争をどう思うか」と問われ「最終的には敗戦で終わると思っています」と答えます。彼は、三菱重工にいたので、具体的な日本の手持ちの戦争継続資源の数字を知っていて、それをもとに合理的な答えを言ったのです。 
それも、それぞれ別のシチュエーションで3度も。 
なぜか新人が最高機密情報を知っていることに絶句する教官。
 
その後の展開やシベリアでの苦労話についてはぜひ、皆さんにも本文をお読みいただきたいのですが、こういう合理精神を持ち、こういう苦労をされた方だからこそ、当時のどちらかというと旧態然な和光市議会において、新しい風を吹き込むことに成功されたのだな、と感じました。
 
いわゆる「覚悟が違う」というやつですね。
 
本書は単なる体験談というよりも、私的な視点からの客観的な戦争、軍隊、そしてシベリア抑留のルポであり、筆者の優れた観察力が反映された良書であると感じました。
 
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