都市問題会議2019振り返り1~災害が常に起こりうる前提で社会を設計する | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

都市問題会議2019振り返り1~災害が常に起こりうる前提で社会を設計する

鹿児島県霧島市で開催された第81回全国都市問題会議のテーマは「防災とコミュニティ」。


初日である8日の基調講演は志學館大学の原口泉先生。南九州の江戸期の災害史を「洪水→台風→旱魃→虫害→疫病」というサイクルに、さらに火山爆発、地震、津波が被害を増幅させる、ととらえ、南九州の人々がそれとどう付き合ってきたかを豊富な雑学を交えて解説。
特に印象的だったのは独特な「門割制度」。4から5戸の農家のグループ内で一定期間ごとに耕地を割り変える。これにより、災害によって収量が変化する不公平を克服する。
この制度が優れている点は二つあるという。
ひとつは被災時に被害を均分する仕組みが組み込まれているということ。土石流で壊滅した地区があると、再度被災していない地区を含めて区割りを決めて配分する。つまり、被害が特定の人に集中しないのだ。
もうひとつは新しく配分する土地は一か所にまとめない、ということ。作業効率は悪くなるが、大きな被害が局所的に発生したときに、持っている畑のどこかでは作物が取れるということになり、特定の農家がつぶれる、という事態を避けられる。これを「うったちがはやい」という。これは対応が早いということ。
近代に入る以前から、薩摩ではこのように災害がある前提でいかにそれを克服し、効率的な社会を構築してきたかが分かる。
ちなみに先生の山のように出てきたトリビアで一番おもしろかったのは桜島の克灰住宅(こくはいじゅうたく)という話。桜島にも人が住んでいて、鹿児島市に編入される前は桜島町という自治体でしたが、そこには灰が降っても快適に暮らせる設計の住宅があるんだそうです。
まさに、災害とともに、しかし結構快適に生きる人々の知恵が結晶していて感動的でした。
実は、現場では克災住宅に聞こえたのですが、調べてみると克灰住宅のことでした。

そして、現地滞在中にも桜島からかなり大きな規模の噴煙が上がったようですが、なにしろ日中ずっと缶詰なので、噴煙どころか桜島の姿すら見られませんでした。


一つ言えるのは、原口先生のトリビアはものすごくたくさん出てきて、どれも面白いのですが、たくさんあり、早口で私には再現できません。雑学魔王の講義はこういうテストのない講演ではいいのですが、大学で彼の講座を取ったら阿鼻叫喚ですね。