「町の持続力」における民間賃貸住宅の意義!?~大槻敏雄先生の講演から | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

「町の持続力」における民間賃貸住宅の意義!?~大槻敏雄先生の講演から

首長リレートークに出席させていただいた「まちづくり・すまいづくりフォーラム」のうち、大槻敏雄東大大学院教授の講演「町の持続力を考える」が予想通りエキサイティングで、ただ、レジュメも講演も40分の持ち時間には入りきれない膨大なもので、後日ゆっくりと著書を見ながら中身を消化していこうと思います。
今日は気になったキーワードのうち「賃貸住宅」に関する雑感のみメモしておきます。

・賃貸住宅
先生が明確におっしゃいましたが、都市計画では賃貸物件はどちらかというと邪魔者扱いです。しかし、和光市では和光市入門としての賃貸住宅の一つのモデルとして、西大和団地をターゲットに建て替えに積極的にかかわってきました(西大和団地は保育園や小中学校から24時間随時対応システム拠点、まちかど健康相談室までを擁し、お隣には和光国際高校まである、市として全世代型の地域包括ケアタウンの実現を目指す戦略地域であり、全戸が賃貸住宅という特異な地域でもあります)。


ただ、民間の賃貸住宅についてそうかというと、実は一戸当たりの面積を広げて質を高める、ということ以外には大きな戦略を明確に持てずに今に至っています。

そこで先生のお話であらためて痛感したのは地域への人の受け入れの第一歩として、また、いわゆる住宅双六のバッファーとしての賃貸住宅の役割です。住宅需要というのはライフステージの区切りごとに生まれることが多いのですが、住宅の売り物件というものは地域にそうそう都合よくあるわけではないし、購入のハードルも高い。
そこで、地域に賃貸物件があることにより、人や家族がまずライフステージのある局面でその地域に入ってきて、しかるべき物件と出会ったときに分譲物件や土地を購入する。つまり、賃貸物件がなければ地域内の人の移動が起こらず、コミュニティの新陳代謝も起こりにくくなる、というお話。

まちひとしごとの戦略策定の時、まず賃貸物件の入居者として地方や都内からやってきた若い層が家を買って一家を構える際に、売り物件が少ないがゆえに取りこぼしている、というシナリオを確認した際、多少意識はしていたのです。でも、和光市入門としての民間賃貸物件の市としての方針とセオリー的なものを明確に持たなきゃな、と感じました。
「賃貸で入ってくる層」を明確なターゲットの一分野として、何を訴求し、どういう人々に来ていただきたいか、というメッセージを込めたマーケティング、ブランディングが必要なのだろうと感じました。
私はもともと和光市を知らず、いくつかの選択肢の一つとして、しかし、将来性や可能性、防災性等を意識して和光市を選びましたが、最近は「和光市」もブランド化し、地方からの(投資先を求めた富裕層による)指名買いすらある、とうかがっています。
どんな賃貸物件像に誘導することが10年20年先のを定住者像を見越した際に有効か、という視点を明確に持ちたいと思いますので、地域の不動産業の皆さん、賃貸オーナーの皆さん、ぜひ、一緒に考えてまいりましょう。

今日は賃貸住宅について書かせていただきましたが、その他のキーワードについては後日、余裕があったら書かせていただきます。