憲法における地方自治の趣旨〜平和主義以外にも関心を | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

憲法における地方自治の趣旨〜平和主義以外にも関心を

今日は憲法記念日ですね。世間では9条論議が盛んですが、私は地方政治家なので、例によって地方自治について、少し書かせていただきます。

憲法第92条は
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨(ほんし)に基もとづいて、法律でこれを定める。」と定めています。
一般的に「地方自治の本旨とは、住民自治と団体自治である」と考えるのがノーマルな解釈です。
住民自治は、地方公共団体(いわゆる地方自治体)は、その地域住民が自らその事務の処理について決定する、ぐらいに考えてください。
また、団体自治は、地方公共団体の事務は、国から独立した意思決定機関に委ねられる、ぐらいに考えてください。
地方自治体は国家からむやみに指揮監督されない、という意味である、と考えていただければいいでしょう(都道府県がむやみに市町村を指揮監督すべきでないことも、当然ですが演繹的に導かれます)。
ちなみに市町村の判断がいかなるものであれ、反社会的であるとか、明確な法令違反以外は都道府県や国が是正するというのはいかがなものかと思います。自分たちの代表の選択は選挙で落とし前をつけるべきであって、市を県に指導してもらおう、的なものは団体自治の観点からは別のリスクを招来しうるものとして、いいことではないと私は思います。

さて、この地方自治の条項については、「地方自治の本旨とは何かがよくわからない」「もう少し明確に定めては!?」というような批判があります。
また、身近なところで処理できることは身近なところでやるべきであり、それが不可能なことは広域で、という「補完性の原理」が地方分権改革で明確化されたことから、私は補完性の原理は憲法で書くべきではないだろうかと考えています。

ただ、憲法改正の論議は基本、9条論議が中心であり、地方自治の議論は皆無に等しいのが現状です。
唯一議論している知事会も、参議院の合区という局地的な話題を議論することがメインテーマになっているきらいがあります。

憲法記念日にこそ、平和主義以外の憲法の重要論点にも注目が集まってほしいものです。