幼児教育の無償化と効率性〜独立財政機関でポピュリズムを乗り越える | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

幼児教育の無償化と効率性〜独立財政機関でポピュリズムを乗り越える

保育無償化と待機ゼロに同じ予算を投入した場合の経済的アウトプットを比較すると結果はどうか。
無償化は、これから新たに預けて働く人も出ますが、都市部ではさらなる待機も出る。待機のない地域では労働力は増えます。
待機児ゼロは今働いている人の職を守り、現実に働こうとしている人が働け、ボトルネックが解消する。

ところが、同じ金額で金銭的な効用を多数にもたらすという観点から見るとどうでしょうか。
無償化は、より人数の多い保育を受けている人全員にお金が配れます。
待機児ゼロは待機を解消するごとに、ニーズが減る施策なので、待機児が十分に減り、見殺しになったのでしょうね。
都市部の住民からすると納得の行きにくい施策選択です。

こういう非効率的な政策が選択されてしまう要因として一番大きいのは、社会全体として、政策の費用対効果などに関する検証の機能を果たす組織がない、というところに尽きるのではないかと思います。
もちろん、純然たる営利企業であるマスコミ各社の手に負える問題ではありません。
では、海外ではどうか。

政党には党利党略、マスコミには儲けという力学があるのだから、客観性は期待すべきではない。そして、実はこの問題は世界的には常にある問題であり、処方箋も示されています。それは非党派性と独立性が担保された「独立財政機関」を公共機関として創設し、チェックを行わせるということです。ヨーロッパではメジャーな政策で、国内であまり具体的な政策として認識されないのが不思議なのですが。

もしかしたら読んでくださった方のご期待とちがう論理展開だったかもしれませんが、この独立財政機関、与党の政治家にもメリットが大きい話です。わけのわからない思いつきの政策やバラマキで一番困っているのは実は、心ある与党の大勢の政治家なんです。

幼児教育の無償化には間に合いませんでしたが、さらなる政策選択リスクから国民を守るために、政治に関心のある全ての方に「独立財政機関」という単語をまずは認識していただければ嬉しいです。