地方自治と住民投票2〜準備は十分だったのか
引き続き沖縄の住民投票を題材にした頭の体操です。
普天間移転の件、私は住民投票の賛否については言いませんけど、これだけは言えます。
投票推進側の論理的な態度としては、実務的に事前の市町村との協議で態度を保留した市があった時点(実際にあったと報道されている)で、その後の今回のようなことを想定して代執行について制度と実務の両面で詰めていなかったということを本来、問題視すべきだと思うんですよ。
事務を断った市にしても、代執行に当たって名簿を出さないとか、会場を貸さないとかいうところまでは多分、やらないと思うんです(この件の参考になる裁判例を見たことがあるのですが見つけられない。いずれにしても貸さない首長はいないと思います)。
そこまでやる理由もないし、やって裁判となったら確実に負けるでしょう。なぜなら、これは意思表明の機会を奪うから。どう見ても違憲です。
わかりますよね!?この違い。
そして、自ら事務を行うことまで見越して十分に準備したなら、県は代執行をこなせたはずです。
だからこの問題は、突き詰めると憲法問題ではなく、知事たちの作戦の誤りだと私は認識しています。
私もミスはやりますけど、この準備をしていなかったことはまさに大きな失敗。あらゆる可能性を想定して準備するのが仕事だとすると、ちゃんと仕事をしていない。
なぜ、そんなに大切な住民投票なら、綿密に計画しないのか。「いい加減にしろ!」と。
斬りつける相手が違うのではないですか、と。
そして、じゃあ国政選挙の事務でも断れるのか、という声がありますが、国と地方の協議の場に関する法律は第三条で下記のようなことを書いています。費用負担等、協議の対象となることについてまともな協議をしていないと違法行為となります。協議の結果の尊重についても規定があります。ですから、費用負担等、ことと場合によっては事務返上をチラつかせて交渉することになりますよ。
何しろ、今でも国政選挙の経費の全額は支払われていないのです。
国と地方の協議の場に関する法律(抜粋)
(協議の対象)
第三条 協議の場において協議の対象となる事項は、次に掲げる事項のうち重要なものとする。
一 国と地方公共団体との役割分担に関する事項
二 地方行政、地方財政、地方税制その他の地方自治に関する事項
三 経済財政政策、社会保障に関する政策、教育に関する政策、社会資本整備に関する政策その他の国の政策に関する事項のうち、地方自治に影響を及ぼすと考えられるもの
(協議の結果の尊重)
第八条 協議の場において協議が調った事項については、議員及び第二条第八項の規定により協議の場に参加した者は、その協議の結果を尊重しなければならない。