自費視察1「亜臨界水反応装置による廃棄物処理施設」の視察 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

自費視察1「亜臨界水反応装置による廃棄物処理施設」の視察

今回の台北行は隙間時間を使った弾丸旅。金曜日の消防連合点検終了後、着替えて準備をし、スカイライナーで成田へ。初めてのバニラエアは往復23,020円。大阪往復より安い。スカイライナー代がなければもっと安いのですが好きだから仕方がない。ちなみに、大好きな台湾のお茶が欲しかったので帰路の荷物預け代込み。夜9時前に成田を出て4時間の旅です。
(いきなりチェックインで7キロの荷物制限を超えているといわれ、見たら8キロ。そこでガイドブックを胸ポケットに、リチウムバッテリー3つをズボンのポケットに入れてぎりぎりクリア。LCCの洗礼ですね。
後ろの席の人が大柄で、座席をあまり倒せずこれまたびっくり。反則ですやん!)
初めての桃園空港では、入国が異常に混んでいた(LCCをやたらと受け入れるのでパンクしているとか)ため、入国に1時間以上かかり、ホテルに着いたのは午前3時前。...
こんなこともあろうかと、23時以降しかチェックインできない格安プランで予約していたものの、3時着だと5時間しか寝られずこれならユースホステルでもいいいくらいでした。

さて、午前9時半には今回の行きの台湾での二大任務のひとつである台湾の宣蘭県冬山郷にある聖農生技に向けて出発しました。
可燃性廃棄物を圧力容器に入れ加水し高温高圧の蒸気で処理する、亜臨界水反応装置による廃棄物処理施設の視察を行いました。
https://www.sanagriculture.com/
わざわざ自らご案内いただいた陳世文(愛称サムさん)代表によると、現在、豚や鶏の解体後活用できない部分や病死した家畜家禽を処理するビジネスに使用しているとのことで、なんでも骨や爪なども含めて分解され、肥料になるというお話でした(おがくずなどを処理した肥料も製造)。
なお、金属やガラスは分解できないものの、プラスチックやビニールも分解できるのがこのシステムのミソで、この工場でも、混入したプラスチックなども問題なく処理され、あらためてプラスチックを取り出す工程はありません。

この工場で生産される肥料は有機肥料として認定されており、普通の肥料と液肥を生産しています。実は特に液肥が茶畑にいいとのことでした。

工場を見学した後、この肥料を使っている農家の方が来られました。有機栽培の野菜農家の方で、この肥料は非常に成績がいいとのこと。その方は近隣の農家に肥料を卸す仕事も始められたそうです。

実際に使っているという茶園にも連れて行っていただきました。
https://www.facebook.com/futea.tw
このお茶が実に美味しくて、直感的にはこりゃ埼玉にはぴったりなのではないかと感じた次第。
茶マニア(香料をつけないものに限る)の私としては、台湾茶の頂点は梨山に代表される清香高山茶、これに尽きると思っていましたが、それに匹敵するといっても過言ではないお茶が平地で栽培できていることに驚きました。

見学の後、サムさんにお話を伺いました。

日本のメーカーからこのシステムを導入して10年近いが特段問題は出ていない。この仕組みのいいところは残さが出ないこと、環境負荷がほとんどないこと、そして、アウトプットが売れることであり、地球の持続可能性に貢献するエコビジネスであると自負している、とのことでした。
また、高圧、高温で処理されるため、菌も虫もすべて死滅し、消毒等不要で肥料成分だけが残るとのことです。

「一般ごみ処理にも有効ではないのか」と問うと、「私たちはあくまで企業だ。台湾では家畜の死体や解体処理ごみはすでに焼却してはならない法律があり、そもそも処理費が高い。また、それを処理してできる肥料も品質が高く、ビジネスとして成功している。一般ゴミ処理に進出する理由がない」という答えでした。
ちなみに「公共の仕事なら利益を出す必要はないのだから、ぜひ、環境負荷の高いゴミの焼却を止めてこのシステムで分解処理することを検討したらどうか」ともおっしゃいました。

現在、マレーシアや中国でもこのプラントが動いているとのことですが、近いうちに日本でも農業関連ゴミの分野で本格的な導入が始まりそうです。

なお、今回は通訳の手配ができなかったため、英語で説明していただきましたが、どうしてもわからないと必殺の筆談が効果的でした。同じ漢字文化を共有する強みですね。

これで工場視察編は終わり。後半に続く。