刑部真弘「エネルギーと環境問題の疑問55 」(成山堂書店)を読みました | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

刑部真弘「エネルギーと環境問題の疑問55 」(成山堂書店)を読みました

環境問題、エネルギー問題については昨今、世間の関心が高く、報道や解説ニュースもたくさんあります。しかし、その内容たるや玉石混交で、正直なところ信頼するに足りなません。
本書はこの環境問題やエネルギー問題について、超一流の研究者である著者が55の幅広い論点を科学的な知見を踏まえて平易に解説したものであり、安心して読めます。

1章めは環境問題全般。二酸化炭素の放出量や吸収量の求め方、地球の熱バランス、グリーンカーボンやブルーカーボンなどについて、ある程度根拠を説明して概説しているのがいいですね。著者がエンジンの専門家であるため、船舶の停泊中の陸からの送電による二酸化炭素削減の話があり、目から鱗でした。
2章めは再生可能エネルギーについて。バイオマスとは何なのか、蓄電池以外の電気をためる方法、電気自動車の今後、ドイツのエネルギー事情など、大変興味深い話題が並んでいます。
3章めはエネルギーの基本。ここは著者の真骨頂といってもいいでしょう。高位発熱量と低位発熱量の違い、ピストン機関とタービン機関の違い、高効率を達成するコンバインドサイクルのしくみ、スマートグリッドのしくみなど、興味深い論点が並びます。
4章めは省エネの極意。ピークカットの効果や見える化の効果などが解説されていますが、著者の研究分野であるターボチャージャーの意外な省エネ効果の解説はこれまた、非常に興味深く楽しく読めます。
5章めは身の回りの不思議なこと。たとえばエアコンと電気ヒーターの効率性の違い。エアコンの方が圧倒的に効率的とのことで、説明を読めば納得です。他にも煙突から出る白煙は高効率のしるし、と言われると「えっ?」と興味を持ちますよね。
6章めはエネルギー政策や資格のこと。
7章めはいろいろな方の環境に関するメッセージ。

ということで、さすがにまじめな本なので、キャッチ―な書かれ方ではありません。ただ、知識のない方でも読めるよう、随所に工夫がしてあるので、文系の人でも読み進めることができます。
この分野に関心のあるあらゆる
方にお勧めします。