市長会は憲法の地方自治項目のあるべき姿について、十分な調査研究を進めるべきではないか | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

市長会は憲法の地方自治項目のあるべき姿について、十分な調査研究を進めるべきではないか

今日はマニアックです。

地域別就任時期順で理事をやらせていただいている埼玉県市長会の役員会に出席しました。新年度の予算や役員人事が今回のメインの議論でしたが、予定の案件が終わった後で、私から一つ提案をさせていただきました。
それは憲法改正論議に関するもの。

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憲法改正の是非は措くとして、仮に憲法を改正するなら、という想定は今の自民党の動きの中では、避けられないものです。その流れの中で、市長会はやはり、少なくとも憲法の地方自治に関する項目について、あるべき姿を検討しておく必要がある、というのが私の意見です。

このため、知事会の2月の国政政党3党(自民、公明、民進)への要望活動
(リンク参照)

 

を踏まえ、全国市長会が十分に地方自治規定のあり方を検討する必要がある、ということを埼玉県市長会で意思決定できないだろうか、まず、その点を埼玉県市長会の正副会長でとにかく一度、検討していただけないだろうか、という趣旨の発言をしました。
また、具体的には補完性原理を明確に書くべきと考えるが、自民党および知事会の草案はその点をあえてスルーして書かれている、これは市長会として問題視すべきだろう、ということも申し添えました。

さて、地方六団体で今般の憲法改正論議に関する積極的な意見を表明しているのは、というと実は知事会だけです。知事会の主張のメインは「地方自治の本旨」の明確化と「合区の解消」です。知事会は従来の「憲法と地方自治研究会」の議論を踏まえ、昨年の7月、「国民主権に基づく真の地方自治の確立に関する決議」を行いました。本文はというと、
「1 平成31年の参議院選挙に向け、「合区問題」の抜本的解決策の結論を得、早急に示すとともに、国民に対して、十分に周知を図ること。
なお、一部反対意見(大阪府)及び慎重意見(愛知県)があったことを申し添える。
2 「国民主権」の原理のもと、地方自治の権能は、住民から直接負託されたものであるとの観点から、憲法第92条の「地方自治の本旨」について、より具体的に規定するように検討すること。」というものです。
11月には知事会の「憲法における地方自治の在り方検討WT」が地方自治に関する部分について、憲法改正草案を示しています。

しかしながら、知事会の立脚点はあくまでも都道府県です。よって、たとえば地方分権改革の指導的な原理として広く受け入れられている「補完性原理」については草案では言及すらなく、あくまでも都道府県目線での草案(および報告書)となっています。

身近に住民と向き合い、直接的に仕事をしている市町村が憲法における、地方自治の位置づけのあるべき姿について、十分に検討せずに放置する、ということは無責任な姿ではないでしょうか。
もちろん、憲法改正にはいろいろな意見があることは承知しています。
しかし、その是非を問うには論点整理が不可欠です、しかし、議論のほとんどが9条という特定の部分に費やされ、その他についてはないがしろになっている、ということ、さらには地方としては憲法のあり方の検討が進んでいる知事会が地方全体の目線ではなく、あくまでも都道府県の目線で議論していることを踏まえると、やはり私は市長会こそが基礎自治体の先頭を切ってこの分野の十分な調査研究を行うべきだと思うのです。


画像は「自治日報」2月16日号より