非常に有意義だったHonda航空機エンジン展示会
Hondaというと和光市を代表する企業ですが、その研究所はというとアシモを作っているらしいよ、などということは知られていても、その実、市民にはちょっと近寄りがたいイメージがあるのが事実。
そんな本田技術研究所さんで研究され、開発されたHondaジェットがアメリカの型式認定を得るらしい、とか、そろそろ日本にやってくるということで、昨年末あたりからマスコミが騒がしくなり、市民の関心が高まるとともに私自身も大変興味を持っていました。
しかし、Hondaさんの代表番号に電話をかけて「和光市長です。ジェット機貸してください」というのはあまりに非現実的です(←議員さんの中にもこういうことができると思っている方がいて驚くのですが、世の中、何事も人と人との関係です。簡単に考えられるとちょっと困ってしまうんですよね…)。
そこで、とある年初の会合のときに、数年前から知遇を得、頼りがいのある方としてあてになりそうなAさんに相談をしてみることにしました。
すると、驚いたことにAさんはまさに関係者、しかも中枢部の方だということがわかりました。そこで、私はできるだけ情熱をこめて「ジェットエンジンを貸してほしいんです。市民には興味を持っている人がいっぱいいます」というお話をしました。
Aさんはニコッと笑って「できるかもしれません」とおっしゃり、具体的な実務については市役所の担当者から連絡を差し上げることにしました。
さて、それから数か月。担当者が持ってきた企画を見て驚きました。なんと、最新型だけではなく、歴代のHondaジェットエンジンを並べ、しかも、エンジン教室まで実施されるという豪華企画になっていたのです。
驚くとともに、Hondaさんの心意気を感じ、「絶対に成功させなければ」という大きなプレッシャーを感じました。
ということで、展示会が始まりました。
初日こそ人の出は少なかったものの、多くのマスコミが取り上げてくれたため、翌日からは見学者が殺到し、たったの1週間で2100人超という数字を記録しました。
特に一般見学者の目をも釘付けにしたのがエンジン教室でした。本物の設計ソフトを使ったエンジンのファンの軽量化とシミュレータによる強度の確認、素材の強度の実験、実物大の模型によるエンジン組み立て工程の体験など、普通の理科実験教室ではありえない、世界で唯一の教室でした。
おかげさまで、展示会は成功裏にお開きとなり、私もホッと胸をなでおろしました。
ちなみに、私が一番好きになったのはこの初期型のエンジン。典型的なターボファンエンジンではなく、革新的なATPエンジン(ターボプロップエンジンの一種)をまず作ってしまうのがHondaらしいですね。何より、生き物のようなフォルムを見ているとおとぎ話の世界のエンジンのようで、SF好きの私にはたまらない存在でした。
そして、数日後、和光市内で今回の企画で活躍した方々の反省会が開かれ、私も少しだけご一緒させていただきました。そこで、いろいろなお話をうかがいました。
なんと、教室を開いてくれたHondaの若手技術者たちは小学校の理科の教科書をすべて読み合わせて、説明の内容をしっかりと作りこみ、入念に打ち合わせをしたそうです。また、エンジンの模型も今回のために3Dプリンタで作成していただいたそうです。何より、すべての作業は若手技術者たちのボランティアであり、だからこそ、あんなに面白い教室ができたのですね。
私はそこに日本人の技術者魂を感じるとともに、イメージを上回るHondaスピリットを感じました。
今回の展示会でご尽力いただいたすべてのHonda関係者の皆様に心からお礼申し上げるとともに、Hondaジェットが世界市場で大成功を収めることを心からご祈念させていただきます(ガンガン儲けてくださいね!)。
そして、市役所とサンアゼリアの職員も頑張りました。
いい企画ができて、私も楽しかったことをご報告申し上げます。
和光市ホームページ掲載の展示会の報告記事
http://www.city.wako.lg.jp/home/miryoku/citysales/hondakoukuki/_15212.html
Hondaジェットウェブサイト
Honda-TV
http://www.honda.co.jp/hondatv/2015/ch-product0605_02/