6月4日衆議院憲法審査会の報道に違和感 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

6月4日衆議院憲法審査会の報道に違和感

4日行われた衆院憲法審査会にかかる報道がいろいろと出ていますが、報道は学識経験者が意見と述べた、という事実のみを取り出しています。

そこで、二点、お話しさせていただきます。


1.学識経験者の意見陳述はわかりやすく、必見

実際には学識経験者の話に非常に本質的に重要なところがあり、憲法を考える際の国民の基礎知識として、不可欠なものです。審議の動画をご覧いただけるので、ぜひ、ぜひ、冒頭の50分ほどの学識経験者の講義をお聴き取りいただければと思います。
時間がない方でも、長谷部先生の部分はまさに立憲主義の歴史的な経緯の概論として、国会議員から地方政治家まで、いや、国民こそがかみしめて聴く必要があろうと思います。たった12分です。ぜひ、動画を直接ご覧下さい。


2.学識経験者の「違憲」のニュアンスには温度差がある

さて、報道で部分が取り出されている「違憲か否か」のパート(中川議員のパートの末尾のところ)ですが、長谷部先生と小林先生は「集団的自衛権の行使は違憲である」という趣旨を述べ、笹田先生は過去の自民党と法制局の作り上げた体系が限界であり、それを乗り越えると違憲である」という趣旨のことを述べられました。ここも全部ご覧いただいても数分です。

どういうことかというと、長谷部先生と小林先生は一般論として集団的自衛権は違憲かどうかという観点で意見を述べ、笹田先生はそうではなく、今回の集団的自衛権の解釈変更は違憲であると述べたのです。

それを十把一絡げにして三人が違憲と述べた、と報道したのがマスコミの不見識なのか、恣意的報道なのか、私にはわかりません。

ただ、報道としては不適切なのではないかと私は感じました。

長谷部先生と小林先生のお二人と、笹田先生では発言の中身が大きく異なる、ということを声を大にして申し上げたいと思います。

そして、別の部分では小林先生は今回の解釈変更についてもその実について辛辣なことを言っておられます。


ちなみに、一部の政治家の意見に不勉強な部分があり、私も政治家であるので大変残念に感じました。


そうそう、この報道を見てまず思い出したのはメイトランドが著書で言及しているクックの思想についてです。引用します。

「彼(注 クックのこと)はコモン・ローが制定法及び大権の上位にあるということは明確に主張しているように思える。すなわちコモン・ローが国王と議会の双方にあるべき場所を指定し、又双方をその場所にあり続けさせるというのである。」(メイトランド著、小山貞夫訳『イングランド憲法史』p399)


http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44973&media_type =