健全財政責任法の制定こそ国政の責任 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

健全財政責任法の制定こそ国政の責任

自由民主党さんが公約の文言に財政規律を大きく取り上げていただいていることにはもちろん、敬意を表します。ただ、それにつけても野党時代に審議未了となった健全財政責任法の制定をお願いいたします。財政規律は曖昧なガイドラインや指針ではなく、議会の審議プロセスを経た「法律」でなければ実現できません。
下記リンク先のロイターの記事からは2010年当時の自由民主党が健全財政責任法案の骨格をまとめた際の熱い思いが読み取れます。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14186620100304


今回は今こそ健全財政責任法を、とご提案申し上げるとともに、その必要性について簡単にお話しします。


①なぜ、財政規律はルール化すべきなのでしょうか


図のように、少子高齢化社会が進展し、全国的にみると中長期的なサービスの切り下げや受益者負担の増加は不可避です。しかし、値上げやサービスカットはその理由を明確にするとともに、ルールを明確化することで透明化するプロセスが欠かせません。明確なルールの下に財政を運営することはもはや不可避な状況と言えます。
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②財政の基本的なルールは民主主義の根幹ですから、議会が関与すべきです


では、私が法律で担保すべきであると申し上げる理由は何なのでしょうか。そもそも、民主主義のルールは課税権にかかる紛争とともに発展してきました。

有名な英国の「大憲章」はジョン王が行った慣例を無視した課税や負担の強要に対する地方の有力者の「ノー」が結実したものです。その後、英国憲政史上の重要な文書による大憲章の確認は何度も行われましたが、それらの背景には課税権等をめぐる争いがありました。
(メイトランド『イングランド憲政史』など参照)

つまり、財政の基本的なルールこそは議会で議論し、法や条例で定めるのが筋なのです。

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③健全財政条例の観点からのまとめ


さて、下記の図には和光市で健全財政条例を制定した際のまとめを示しました。健全財政条例はまだ、ごく一部の自治体でのみ、導入されたにすぎません。しかし、世界に目を転じてみるとアメリカのほとんどの州の州法や州憲法ではすでに、財政規律規定が存在します。また、ヨーロッパ諸国では健全財政責任法が導入されたり、議論が行われたりしているという現実があります(背景にはEUによる規制の存在がある点には注意が必要)。

ぜひとも、自由民主党の関係者の皆様には、今回の公約での記述にとどまらず、2010年の熱い思いに立ち返っていただき、法制化をお願い申し上げます。


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なお、最も新しい健全財政条例である横浜市条例の策定にあたり、議員提案による条例化を推進された横浜自由民主党のホームページをリンクさせていただきます。

http://www.jiminyokohama.gr.jp/pt/category/07_pt/