健康づくりにかかる鎌田實先生の講演から~「全国都市問題会議2013」より | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

健康づくりにかかる鎌田實先生の講演から~「全国都市問題会議2013」より

全国都市問題会議に行ってきました。会議といっても基本的には座学の研修です。テーマは和光市の最重点課題である「健康づくり」。
下記は諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生の基調講演で私が取ったメモです。
撮影禁止、録音禁止の中で私がざっと取ったメモですので、文責は私にあります。聞き間違いや表現上の問題があってもお許しください。

「都市と健康のキーワードをお話しします。
健康には別解がある。自分たちの答えがある。一つの答えで右に倣えでやるものではない。
健康は色々なことに繋がっている。

健康は経済に深く関係している。
大正時代は先進国で最も低い平均寿命。40歳ちょっと粗食に戻して健康になるわけではない。

都市の健康のキーワードは 絆と生きがいである。
例えば、震災で人々は大きな家から仮設へ移らざるをえなかった。その苦労。
街を守るのに大切なことは想像力である。
海から命が始まった。その命が複雑化して時間をかけて僕たちに繋がっている。どうバトンタッチして繋げて行くか。
東京医科歯科大学を卒業して、自分だけが地方の病院に。赴任先は茅野市だった。当時の茅野市は脳卒中死が市の中で第一位。医師は医学部で治療を学ぶわけだが…。
脳卒中のおじいちゃんの治療をして成功した。一週間後、おじいちゃんが杖をついて歩いていた。さぞかし喜んでいるだろうと声を掛けると
「殺してくれれば良かった」と言われ衝撃を受けた。聞くと、農家は畑が気になるわけで、退院後、すぐに畑に向かった。畑に雑草が生えていたので抜こうとすると、それができない。おじいちゃんは肩麻痺だった。雑草が抜けないということで生きがいを失った。
病気を治療することが即、幸せの実現には繋がらないというと。

脳卒中が起きないほうがいい。
ボランティアで健康づくり運動に取り組んだ。
人の不幸でそろばんを弾くのではなく、人を幸せにしたい。
健康教室には、まず、女性が集まった。地域は脳卒中の介護地獄だったから。
心の揺さぶりが大切。
男は「遺伝だから」と諦めていた。
まず、減塩、と語りかけると大好評。しかし、話が終わると自然にお茶に野沢菜が出てくる。それが地域のもてなしだった。
(ここで茅野市のデータが示される。明確な数字の変化)

数字で効果が見えてくると男が理解し始める。
男たちがその気になると変わり始める。
問題はどう行動変容を起こさせるか。
私は父に勉強するなと言われたから勉強した。
地域に入ってキーパーソンになれる保健師になれるか。
「試してガッテン」を10年見ても行動変容は起きない。
幸せに生きない健康法は意味がない。ハーバードの公衆衛生の先イチロー・カワチ先生は「絆がある地域は健康な地域」と言っている。
いま、茅野市は医療費が低い長野でも一番医療費が低い。
茅野市には健康推進委員がいる。これはソーシャルキャピタル。
長野4700に人の食生活改善推進委員。これもソーシャルキャピタル。
私たちの病院には多数の研修医がやってる。彼らに推進委員たちは39年前に公民館を回って紹介したレシピを研修医にお腹いっぱい食べさせる。
「私たちの活動がうまく行っていない時は力になるのよ」と語りかけなから。
自分たちの街をどうするかという哲学が必要である。
アンチエイジングには野菜だが、冬に生の野菜を食べられない長野はお新香文化が育った。
そこで脳卒中対策としての減塩。ところが、胃がんと塩分は正比例していると後でわかった。減塩で胃がんも減った。
野菜を多くするにはどうするか。具沢山味噌汁が具体策。
野菜のだしで旨味があり、塩分に頼らない味。
具体的な例が行動変容をもたらす。
繊維、ネバネバも大切。
皆心の底では健康になりたい。肉を食べてもいいから、とにかく野菜をたくさん食べる。
野菜の色素でフリーラジカルが暴れない。抗酸化力が強い。体のさびつきを防ぐ。
わかりやすいことを丁寧にやり続ける。
白いものは良くない。白米
良くない。血糖上昇曲線をゆるくする必要がある。まず野菜を食べる、納豆を食べる。
アディポネクチンの分泌を促進する「食」。
生姜、唐辛子、ネギ、ワサビ。
長生きが大事か?それは結果ではないか。
幸せでないと!!
例えば末期ガンの人にも健康がある。
在宅ケアという言葉がない時代に24時間体制の在宅ケアを始めたら大変喜ばれた。
これが日本で初めてのデイケア。
介護していた奥さんは一日解放され、ホッとして元気になった。
お医者さんがそこまでやってくれるのか!ということで、
社協のボランティアが来てくれるように、そして、市の保健師が来てくれた。
ソーシャルキャピタル!

○か×かではない。日本はヒステリックな2分法になっているのではないか。

資本主義の日本社会の暮らしにおいては交感神経が過緊張になっている。
たまには副交感神経、ホッとできる時間を作る。
ゆっくりした音楽を聴くなど。
一日に何分かでもいい。

東日本大震災、被災地でも副交感神経の場を、ということで、石巻に「希望の湯」を作った。千人風呂プロジェクト。
新潟の人の「風呂に入ってもう一度生きようと思った」という言葉から。

感動が大切。おいしい食べ物、綺麗な風景に感動。大切なのは感動すること。
セロトニン(幸せホルモン)が出る。自分が幸せになる。
必須アミノ酸、トリプトファン(赤みの魚、肉、チーズ)。

地方では、小さな農業が生きがいに繋がっている。高齢者の有職率は幸せと健康に繋がっている。夢、生きがい、自分たちが受け継いできた文化。

日本人は10人に1人がうつ。みんなが軽い躁状態になるとお金は回転する。そこに加われない人には温かさを回転させる。

セロトニンリッチな地域にしよう。みんなが感動することが大切。
自分たちの街の綺麗なものに感動する。

オキシトシン。相手を幸せにする。炎症を抑え、ストレスを緩和、生きる力となる。
スキンシップ、相手の身になることで分泌。

相手のために、と少し思うと地域が幸せになる。

免疫の話をしようと思ったが時間切れになってしまった。

倒れないようにどう努力するか。刺激で住民自身が変わり始める。
健康は経済や文化等にも関わっている。
老人問題だけではなく、子供の問題。

一番は「生きがい」である。大きな哲学を持って考える。
日本があったかくて優しくて、健康な国になることを祈る。」

参考までに和光市の健康づくり基本条例のリーフレット(PDF)を下記にリンクします。まさに鎌田先生の線を和光市なりに狙っているのですよ。
http://www.city.wako.lg.jp/var/rev0/0019/3624/joreibrochure.pdf