平成25年度施政方針演説の内容を掲載します | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

平成25年度施政方針演説の内容を掲載します

施政方針とは、向こう1年間の市政運営に対する基本的な考え方や予算編成の基本方針、主要な施策等を説明したものです。毎年、市議会3月定例会の初日に行い、即日各会派の代表からの質疑を受けます。

はじめに

和光市は大きな転換期を迎えています。
 和光市駅を基点とする地下鉄副都心線の東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転が本年3月16日から開始されます。当市の交通の利便性が更に向上するだけでなく、沿線住民をはじめ、より多くの人々の注目が当市に集まることが期待されます。この大きなチャンスを的確に捉え、快適環境都市としての魅力あるまちづくりをこれまで以上のスピード感を持って推進するとともに、その魅力を市民のみならず、多くの人々に余すことなく伝え、和光市のブランド力を高めていかなければなりません。
 まちの魅力を高め、計画的な市街地形成を促進するために、都市基盤整備の推進に全力で取り組みつつ、当市の都市づくりの指針となる都市計画マスタープランについて、社会経済状況の変化に対応した見直しを行うとともに、まちづくりに関するルールを再構築することにより、まちづくりの方向性を確認し、安らぎと賑わいを兼ね備えた住みよいまちの実現を図る必要があります。今後も市民の皆様並びに議員の皆様との一層の意思疎通を図りながら「快適環境都市 わこう」の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 

市政運営の基本的な考え方

 現下の国際的な経済情勢は、欧州の債務危機の沈静化や米国におけるいわゆる財政の崖の回避により底打ちした感はあるものの、依然、実体経済は予断を許さない状況にあるといえます。国内では、政権交代を機に景況感が大きく動き、株価の大幅な上昇や為替相場における大幅な円安など、日本経済にはおぼろげながらも明るい兆しが見えはじめております。しかしながら、国は予算の50%近くを新たな国債の発行でまかなうことから、効果が一過性に終われば更なる財政悪化を助長する懸念もあり、状況を注視する必要があります。当市が見込むべき税収も引続き、厳しい状況が継続すると考えなければなりません。
 このような状況の下、市政運営に当たっては、限られた経営資源で効率的な公共サービスを提供する住民に最も身近な地域の総合的な主体としての自覚を持ち、和光市に『「住んでよかった」と実感できる行政サービスの提供』を市役所の使命とする和光市行政経営理念を常に念頭に置き、子どもから高齢者まですべての市民が心豊かに安心して暮らせる地域社会の実現を目指し、各施策の推進に努めてまいります。


和光市健全な財政運営に関する条例に基づく財政運営

 市長就任以来、行財政改革の取組として事業点検、大規模事業検証会議及び補助扶助事業の見直しなどを通じて、過去に着手されることなく滞積されてきた課題を明らかにし、その解決に向け、積極的に取り組んでまいりました。また、行政経営方針を策定し、政策決定や予算編成に係る意思決定の過程を明確にするとともに、財務に関する諸情報についても可能な限り迅速に開示し、行財政運営の計画性の確保と透明性の向上に努めてまいりました。今後においてもこれらを継続的に実施するとともに、財政運営の基本的事項を定めた「和光市健全な財政運営に関する条例」に基づき、限られた財源の中で財政の健全性を保ちながら、計画的かつ効率的な財政運営を行ってまいります。
 なお、平成25年度は、学校建設や区画整理事業などの大規模事業の実施により大きな財政需要が発生する局面にありますが、後年度への財政的影響などを明確に示すなど、説明責任に充分配慮し、当該条例に基づいた財政運営を行ってまいります。


予算編成の基本的な考え方

 平成25年度の予算編成に当たっては、行政経営方針に示した基本的な方針に基づき、重点的に取り組むこととした駅北口土地区画整理事業の推進、小学校の新設、保育園待機児童の解消、健康づくり基本条例に基づく市民の健康増進、和光市地域防災計画の見直し等による災害に強いまちづくりの推進、ファシリティマネジメントの視点に立った優先度をつけた公共施設の適切な維持管理と利活用などの6つの施策のほか、まちづくりを方向付ける都市計画マスタープランの見直しなどの諸施策を積極的に推進すべく調製いたしました。 市民意識調査においては、調査を重ねるごとに「今後も住み続けたい」「住みやすい」という市民の割合が増え、まちの将来への市民の期待の高まりを強く実感しております。 私は未来に責任を負う世代の一員として、将来を展望し、持続可能な市政運営に努めてまいりました。これまで実施した行財政改革を更に推進し、必要不可欠な未来への種まきを積極的に行い、持続的に発展する、安らぎと賑わいを兼ね備えた住みよいまちの実現に努めてまいります。


予算の概要と主要事業

予算の概要

 以上のような考えに立ち編成しました一般会計予算は、前年度に比べ0.1%増の214億6,000万円となっております。
 特別会計では、従来からの国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険及び下水道事業の4つの特別会計に加えて新たに設置した和光都市計画事業和光市駅北口土地区画整理事業特別会計を加え、前年度に比べ5.2%増の120億904万4千円となっております。
 また、水道事業会計では、前年度に比べ5.9%増の17億7,998万2千円となっております。


主要事業

 第四次総合振興計画基本構想における施策体系の基本目標に沿って、その主要な施策及び概要について申し上げます。


基本目標Ⅰ 快適で暮らしやすいまちづくり(都市基盤)

 『基本目標Ⅰ 快適で暮らしやすいまち(都市基盤)』では、都市機能を高め、快適な住環境を整備するための土地区画整理事業を推進してまいります。中心市街地にふさわしい和光市の顔としての駅北口土地区画整理事業については、仮換地指定を行い、道路築造工事などに着手してまいります。また、和光北インター地域土地区画整理事業については、交通の利便性を生かした産業の拠点として、当市の新たな産業経済の振興や、住工混在地域の解消が期待されており、財政負担の平準化に配慮しながら、計画期間内の事業完了に向けて財政支援を行ってまいります。また、良好な居住環境の形成のための中央第二谷中、越後山、白子三丁目中央の各土地区画整理事業では、それぞれ地域の特性と事業の進捗状況等を見極めながら効果的な財政支援を引き続き行ってまいります。このうち、中央第二谷中土地区画整理事業については、都市計画道路諏訪越四ツ木線の大和橋の開通により市中心部への交通動線が新たに確保され、周辺環境の早急な整備が必要になることから、事業完了に向けて財政支援を行ってまいります。
 次に、道路整備等については、用地取得の状況や緊急性等を考慮し、優先度の高い路線について補修整備を実施するとともに、ゾーン30事業による歩行者の安全対策を引き続き実施いたします。さらに、通学路の環境整備が急務であることから、新たに通学路緊急安全対策事業を3箇年継続して実施してまいります。
 また、公園整備では、(仮称)越後山第1公園の整備を行い、公園の一部にまちづくり基金を活用した災害用マンホールトイレを整備するとともに、アーバンアクア公園の整備については、引き続き多様な財源確保を検討しながら段階的な整備に着手してまいります。
 このほか、都市計画マスタープランについては、社会経済状況が変化していることを踏まえ、地域特性などに配慮した中間的な見直しを行ってまいります。


基本目標Ⅱ 自ら学び心豊かに創造性を育むまち(教育・文化・交流)

 『基本目標Ⅱ 自ら学び心豊かに創造性を育むまち(教育・文化・交流)』では、下新倉地区に予定している新小学校建設については、協議の調っていない用地があることから、引き続き地権者の皆様のご理解を得て、早期着工ができるよう全力を傾注してまいります。
 次に、市内小中学校の耐震化については、平成24年度をもって全ての校舎及び体育館について工事が完了いたしましたが、天井等の非構造部材の耐震対策として、小中学校校舎及び小学校の体育館の点検を行います。
 また、校舎等の改修として、北原小学校のトイレについては、平成26年度の着工に向けて実施設計を行い、衛生環境の改善を図ってまいります。
 次に、放課後児童の居場所作りとしての学童保育クラブについては、諏訪保育クラブを増築し、定員増を確保することで、待機児童の解消及び夏休み期間中の受け入れ拡大を図ってまいります。
 また、生涯学習の機会の提供では、災害時の相互応援協定を締結している那須烏山市、十日町市、佐久市との市民交流事業を新たに実施します。
 また、午王山遺跡については、将来の遺跡公園構想や市指定文化財の指定も視野に入れ、遺跡展を開催するなどして、当市の貴重な歴史遺産として、市民に周知してまいります。
 スポーツ・レクリエーション活動については、一市民一スポーツの実践を目指したスポーツ推進計画を策定してまいります。
 なお、和光市文化センター「サンアゼリア」が開館20周年を迎えることから、童謡詩劇「うずら」の再演や埼玉県立近代美術館の所蔵する絵画や彫刻等の展覧会など、各種記念事業を実施いたします。


基本目標Ⅲ 健やかに暮らしみんなで支え合うまち(保健・福祉・医療)

 『基本目標Ⅲ 健やかに暮らしみんなで支え合うまち(保健・福祉・医療)』では、保育園の待機児童の解消に向け、昨年10月に新たに開設した保育園(里仁育舎)に加え、本年4月1日には、病児保育をも実施する保育園(諏訪ひかり保育園)を開設するとともに、家庭保育室を利用する保護者の経済的負担を軽減するため、引き続き保育料の助成を行うなど、待機児童の解消と多様な保育ニーズに対応してまいります。
 また、乳幼児・子ども医療費の助成については、これまでの制度を拡充し、中学生の入院費に加え、通院費を助成の対象といたします。
 次に、高齢者施策については、地域包括ケアシステムの推進の一環として居宅介護の限界点を高める24時間対応の定期巡回、随時対応型サービスの拠点として昨年の北エリア地区、中央エリアの西大和団地地区に加え、本年4月には、新たに中央エリアの丸山台地区に事業所を開設し、住みなれた自宅に居ながら受けられる介護サービスの更なる充実を図ってまいります。
 次に、本定例会に上程しております和光市健康づくり基本条例に基づく取組として、各種の制度及び計画の効果的な連携を図るシームレス会議の設置、新たな健康づくり施策における市民協働のパートナーとなるヘルスサポーターの養成講座の実施及び食や運動を中心とした健康状態の維持・改善を図る健康サポート事業を実施してまいります。
 このほか、高齢者グループホーム・身体障害者ケアホームの共生型施設に包括支援センター及び障害者相談支援事業所を併設した複合施設を開設するほか、障害者の地域生活の自立を支援するため、障害者グループホーム等家賃助成事業を新たに実施いたします。
 また、子宮頸がん、ヒブ(Hib)、小児用肺炎球菌予防ワクチン接種については、定期接種に移行されることから、引き続き無料で実施することとし、高齢者に対する肺炎球菌予防ワクチンの助成については、対象年齢を現行の75歳以上から65歳以上に拡充いたします。



基本目標Ⅳ 安らぎと賑わいのある美しいまち(生活・環境・産業)

 『基本目標Ⅳ 安らぎと賑わいのある美しいまち(生活・環境・産業)』では、防災体制については、災害に対する共助への関心の高まりを受けて、各自主防災組織の活動への支援を強化し、引き続き自治会連合会など地域コミュニティとの協働連携を密にする中で、防災訓練を実施いたします。
 次に、地域コミュニティづくりの推進では、災害時の共助、防犯対策や高齢者の見守り、お祭り等の地域文化の醸成やスポーツ振興や健康づくりなど、あらゆる分野の主体的な担い手となる自治会を強化していくための加入促進事業、未組織地域における組織化事業等を引き続き実施いたします。
 次に、市内循環バスについては、現行の2路線から3路線に拡充するとともに、運行本数も増便し、更なる利便性の向上を図ってまいります。
 次に、湧水・緑地の保全と再生では、引き続き、市民協働を基本として、市民の皆様とともにふれあいの森をはじめとする貴重な水と緑を守り育て、当市の優れた特長である都市環境と自然の調和を更に推進してまいります。
 次に、新エネルギー等導入の推進については、これまでの住宅用太陽光発電システムに加え太陽熱温水器や高効率給湯器などの省エネルギー機器の設置に対しても補助対象を拡大するとともに、雨水小型貯水槽設置についても補助対象を拡大してまいります。
 このほか、地球温暖化防止対策として、市域に低公害車を普及させていくため、市役所駐車場内に電気自動車の充電スタンドを設置するとともに、車両の導入も併せて行い、温室効果ガスの低減を図ってまいります。
 また、産業振興では、引き続き、関係団体と連携を図りながら、地域ブランドの推進や新産業の育成などに取り組むとともに、和光市を広く内外にPRすることで、快適環境都市としてのブランドイメージを更に高め、地域経済の一層の活性化を推進してまいります。


Ⅴ 構想の推進に当たって

 『Ⅴ 構想の推進に当たって』では、平成24年度から実施している第四次総合振興計画基本構想の適正な進行管理のための外部評価について、重点プランを中心に評価結果を平成25年度の施策の推進に反映させるとともに、重点プラン以外の各施策についても、可能な限り早期の反映に努めてまいります。
 次に、市有施設の適正な保全については、ファシリティマネジメントにより計画的な更新によるライフサイクルコスト及びランニングコストの軽減に引き続き取り組んでまいります。市民の皆様の利便性の向上や資産の有効活用を目指し、引き続き公共施設へのWiFiスポットの設置を推進するとともに、太陽光発電を行う事業者に公共施設の屋根の貸出しを進めてまいります。
 このほか、窓口サービスの更なる向上を図るため、県から権限移譲を受け、新たに一般旅券(パスポート)の申請及び交付を本年10月から当市の窓口で行ってまいります。
 また、東日本大震災にかかる被災地支援では、引き続き大船渡市に職員を派遣するなど継続的な支援を実施してまいります。

 以上、平成25年度における主要な施策の概要を述べさせていただきました。


緊急経済対策への対応

 なお、平成25年度当初予算に計上を予定していた橋梁点検・長寿命化計画の策定、白子三丁目中央土地区画整理事業への財政支援の一部、第五小学校トイレ改修事業及び実施計画において平成26年度に実施予定となっております白子小学校アスベスト撤去事業については、日本経済再生に向けた緊急経済対策による各種国庫補助金及び地域の元気臨時交付金などの財源を活用し、効率的な施策の推進を図るため、本定例会に上程しております平成24年度一般会計補正予算(第7号)に前倒しして計上しております。
 今後においても国の動向を注視し、補助金等について活用可能なものについては、積極的に対応してまいります。


むすび

 平成21年5月26日、市民の皆様の負託を受け、市政を預からせていただいてから間もなく4年が経過いたします。市長選挙で掲げた「行財政改革」への取組、「団塊・シルバー世代を元気に」する諸施策、「教育、子育て、障がい者施策」、「ほんとうの市民主義への変革」、「顔の見える市長へ」の取組、「地域環境の再生」への取組という6つの柱からなる39の公約の実現に向け、より良き市民生活の追求と行財政改革の推進を両立させるべく努力してまいりました。その結果については市ホームページで公表しているとおり、1項目については中止としたものの、9項目については取組中であり、29項目についてはすでに実施済みであることから、一定の前進が図られたものと考えております。
 就任の前年にリーマンショックが発生し、厳しい経済情勢が継続したことから、就任直後に法人市民税の多額の返還が生じるなど、財政面ではぎりぎりの選択を常に迫られました。皆様のご理解のもと、「ヤリクリ大作戦」による歳出の徹底した見直し、税等の滞納対策の強化や料金体系の再構築による歳入の基盤強化に努め、何とか未来に向けた投資の原資を確保してまいりました。しかしながら、平成23年度には当市が26年間継続してまいりました普通地方交付税の不交付団体から交付団体へと転じるなど、厳しい財政状況は継続しております。今後も引き続き、歳出の十分な精査を行いつつ、「快適環境都市 わこう」の実現に向けた先行投資を積極的に実施することにより、将来を見据えた安定的な財政基盤を築いてまいります。
 その際、忘れてはならないのが高度成長期に整備してまいりました公共施設の更新です。
 当市では、すでに市有施設保全計画を策定しておりますが、今後は、公共施設のあり方と適正配置、長寿命化など、市民の皆様とともに20年、30年のスパンで、そのあり方を考える全市的な取組も必要であると認識しております。
 全国的に人口減少が進む地域が多い中、当市は人口増という状況を保っております。この背景には地理的条件の優位性があるとともに、交通網の充実が当市の将来に更に明るい展望をもたらしております。今後、これら和光市の特色を生かしたまちづくりを推進するとともに、和光市行政経営理念に掲げた『「住んでよかった」と実感できる行政サービスの提供』に努め、当市の持つポテンシャルを最大限に発揮しうる安心安全な都市基盤の整備を推進することこそが「選ばれる自治体」へとつながっていくことを確信いたしております。
 道半ばの課題については、今後におきましても市政の主役である市民の皆様並びに二元代表制の一翼を担っている議員の皆様との十分な意思疎通を図り、その解決に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、市民の皆様並びに議員の皆様の各般にわたるご支援、ご協力に改めて深く感謝を申し上げます。また、平成25年度に掲げました各施策の推進に対し、更なるご支援、ご協力を賜りますよう重ねてお願いいたしまして、平成25年度の施政方針とさせていただきます。