災害救助法の課題~国のかたちとコミュニティを考える市長の会での議論から | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

災害救助法の課題~国のかたちとコミュニティを考える市長の会での議論から

「国のかたちとコミュニティを考える市長の会」に出席してきました。

今回の東日本大震災では、災害救助法の問題点がいくつか浮き彫りになっており、この点について議論がありました。

そこで私になりにいくつか課題と思う点を書いてみます。


まず、今回、被災地支援、被災者受入の中心になったのは市町村なのですが、法の基本的な枠組みは都道府県が中心になっており、これがいろいろな弊害をもたらしたということです。

都道府県が動かなければ市町村は動けない、という基本的な枠組みがあり、都道府県の指示を待つことで多くの自治体の貴重な時間が失われました。

今回の講師の関学の室崎先生は「要請主義」が産んだ「待機主義」と表現されましたが、まさに的確な指摘でした。

これは全国市長会が自治体間を取り持つ仕組を作ることでかなり改善されました。もちろん、そもそも姉妹都市や災害時の協定を持つ都市は支持を待たずに動いたのですが…。


次に法の「第三章 費用」には、これまた費用の負担について、都道府県の要請が前提の仕組となっており、これが市町村にとっては壁となりました。つまり、都道府県を通しての援助という形式をとることによって最終的に費用が都道府県持ちになるという仕組のため、費用負担の不安が当初はありました。


さらに、そもそも伊勢湾台風を考えた制度設計がベースとなっているため、現代の災害に対応していません。たとえば、今日は局地的な水害の被災地が全体の被災規模の関係で対象とならなかったという話がありましたが、都市型の豪雨の問題もあり、今日的な災害への知見を踏まえた制度へと見直す必要もありそうです。


今回の大震災では弾力的な運用がなされた点が多く、これらの問題は結果的にはある程度緩和されたのですが、やはり、法のリニューアルが必要であると思います。

特に、災害時に現場を担うのは基礎自治体たる市町村であり、市町村の位置づけ等をしっかりと災害救助法に明記することが求められているとあらためて感じました。