自治体運営へのスタビライザー機能の組み込みが課題
ビルト・イン・スタビライザー、累進課税制度など、あらかじめ財政制度に組み込まれた景気を安定させる装置のこと。
フィン・スタビライザーというと、東京の離島好きの人は「おがさわら丸」を思い出すでしょうね。これは船の安定翼のこと。
このように何かを安定させる装置をスタビライザーと言います(正確な定義はもっと別かもしれませんが、ここではそのような意味で使います)。
私は自治体の運営にもスタビライザーが必要だと思っています。
国民健康保険になくて介護保険にあるもの、それはまさにスタビライザー機能です。
介護保険は3年単位で料金を見直します。
上がるときも、下がるときもあります。
その代わりに、介護保険の財政が破たんをすることはありません。
一方の国民健康保険はどうでしょうか。
とにかく「制度を変えよう」と意思決定し、さらにいくら変えるのか検討し、というプロセスがなければ変わらないために、和光市でも国保会計は火の車になってしまいました(そもそも国保の場合には制度的な欠陥が大きいのですが…)。
そこで私はさまざまな料金体系にもスタビライザーを入れることを検討してきました。
たとえば3年に一回、必ずすべての料金体系を見直す仕組みを条例化したとします。
すると、少なくとも毎回議論は為され、市民は否応なしに料金体系に興味を持ちます。
また、無責任な首長が人気取りで料金体系を放置することもありません。
(これを条例化など制度化すれば、あえて制度を廃止しようとした場合、強烈な反発を生むと思います。)
つまり、誰が市長になっても、それとは関係なく自動的に財政を安定させる仕組みを作りたいと考えているのです。
なお、当然ですが、定期的に見直すとは言っても、当然、上がることも下がることもあるという制度です。
実はこの話、先週の山本議員の一般質問に答弁する中で、傍論的にお話しした内容です。
方法論としてはいろいろあると思いますが、健全財政条例への組み込みが妥当という意見が多いように感じます(自治基本条例をつくればそこに組み込むこともできますが)。
私も妥当だと思いますが、いろいろ検討すべき課題は多く、詳細は今後も検討します。
もちろん、定期的な見直しをするからには、自治体側にも継続的なコスト削減の努力と説明責任を果たすための努力が必要です。