ちょっと驚いたこと | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

ちょっと驚いたこと

以前、雑誌に書いた記事が国会の予算審議で参照されていたことにたまたま気付きました。

第166回国会 予算委員会第八分科会 第1号のうち、19年2月28日の議事録です。

備忘録的に転載しておきます。質疑の内容も興味深いものです。

引用者は自民党の木挽代議士です。

意図しなかった使われ方ですが、苦労して整理したデータを使っていただけると少しうれしくなりますね。


○木挽分科員 都市部の農業あるいは農地に対する認識は、ここ最近、大きく変わってまいりました。今のお話の中にあっても、農地の大切さが理解されてきた中にあって、では、今後どうして進めていくのかなという課題が浮かび上がってきたとは思うんです。ただ、日本人が真の豊かさを求める中にあって、より重要な地位を占めるようになってきたというのは、私、共通認識だと思います。国土交通省におかれましても、関係省庁と連携して、さまざまな課題への積極的な対応を今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、住生活基本計画について御質問させていただきたいと思います。
 私的なことですが、私にはことし百歳になる祖母がおります。ありがたいことに元気でございまして、それと私の母、七十歳を優に過ぎておりますが、この二人が、私と居住を離れて山間部の郊外に住んでおるわけなんでございます。親戚あたりから、どうするんだなんとよくつつかれているわけで、非常に私も心がかりなところなのでございます。
 先日、国立社会保障・人口問題研究所の市町村別人口推計データをもとにフリージャーナリストの松本武洋さんという方が作成した、三大都市圏の高齢者人口の推定増加倍率ランキングという資料を拝見いたしました。これは、二〇〇〇年の高齢者人口をベースにして、二〇一五年にどれくらいふえるのか、あるいは、二〇〇〇年スタートで二〇三〇年に推定増加倍率の上位にどのくらいの都市が入っているのかということを一つの表にまとめたものなんです。
 上位にランクされるであろう市町村名がずっと列記されている中で、千葉県とか埼玉県などの都市名が多く見られる。その中にあって、兵庫県では、二〇〇〇年をスタートに二〇三〇年推定増加倍率、いわゆる高齢者の推定増加倍率が三・四二倍で四位にランクされているのが三田市、同じく猪名川町が二・九八倍で十四位にランクされていました。これは私の地元の近隣の町なんでございます。先ほど申しました私の地元、宝塚市、伊丹市、川西市はこの中には登場してまいりませんでした。
 しかし、このスタート年を、二〇〇〇年ではなくて、例えば十年さかのぼって、十年ほど前にずらして一九九〇年として考えてみたらどうだろうな、そう考えると、恐らく、私の地元の三市、登場してくるんじゃないかな、特に宝塚、川西なんというのは登場してくるんじゃないかなと私想像しております。それだけ、私の地元の中にあっても、この宝塚だとか川西市というのは早くに開発された住宅地を郊外に抱えております。そこはまさに、戦後生まれの第一走者たる団塊の世代以上の方々が多く生活されているわけなんです。
 日本がかつて経験したことのない三つの大きな社会変化を私、ここであえて言いたいと思うんですが、それは、二〇〇五年からの人口減少社会の到来、同じく二〇〇五年からの地球環境社会の到来、そして二〇〇七年から二〇〇九年の団塊世代の大量退職の到来です。こうした社会変化を背景に制定された法律が三つ、良好な景観が豊かな生活環境にとって重要な国民共通の資産であるとする景観法。そして、まちづくり三法では、中心市街地の衰退を問題視し、コンパクトなまちづくりを目標に、経済優先主義を否定し、無秩序な市街地の拡散から中心市街地への回帰によるまちづくりを真正面に据え、関係省庁の連携の姿が見えることが評価されると私は思っています。そして、住生活基本法は、国民の豊かな住生活の実現を目的とする、住生活に関する初の法律であります。
 良質な住まいと町を現在のみならず将来の世代にも継承すべきだと強調しているところは私は非常に同感するところでございますが、まさに、急速に進展する少子高齢化に対応した町に必要な仕組みを再構築していかなければならないときが今だと私は思っています。
 そこで、昨年、住生活基本法に基づき九月十九日に閣議決定された住生活基本計画についてお尋ねしたいと思います。
 まず、急速に進む高齢化にどのように対応していくのか。
 冒頭にも述べましたが、私の地元のうちの川西市と宝塚市は、比較的早く郊外の住宅開発が進んだ地域を抱えております。団塊の世代以上の方々が多く住むこうした都市郊外の住宅地は、山を切り開いて、いずれも急勾配の狭い坂道を生活道路として有しております。中心市街地の施設とは距離がありますし、高齢者にとっては決して優しい町とは言えないと私は思っております。
 同じく、昨年創設された高齢者の住みかえ支援制度というものがあると聞いておりますが、これとあわせて、住生活基本計画の中にあって高齢者に対する住まいの考え方について御説明いただきたいと思います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
 高齢化が急速に進展する中で、住宅政策につきましても、高齢者が地域において安全、安心で快適な生活を営むことができるような環境整備を行うことが極めて重要だということで、昨年九月に、住生活基本計画の全国計画を閣議決定させていただいたわけでございます。この中で、住宅のバリアフリー化や見守り支援といいましたハード、ソフト両面の取り組みを促進していくとともに、高齢者、障害者等に配慮いたしました賃貸住宅の供給や、公的賃貸住宅などと福祉施設の一体的整備を推進する、こういうことを基本的な施策として定めたところでございます。
 こういった基本的な施策を踏まえまして、高齢者の居住の安定を図るためのさまざまな施策を展開しているところでございます。特に、御指摘の大都市郊外の住宅地を見ますと、高齢単身もしくは夫婦のみ世帯というのが大変多い、かつ、それが百平米以上のいい住宅に住んでおられる。一方で、子育て世帯は五十平米前後のところに住んでおられるというようなところで、広いところに住みたいなという需要がある。いわばストックとニーズのミスマッチが生じておるところでございます。
 そこで、国土交通省としましても、高齢者の持ち家の賃貸化を円滑に推進していくということと同時に、より高齢期の生活に適した住宅へ、例えば中心市街地に住みかえていただくということを促進すると同時に、広い住宅を必要とする子育て世帯へ賃貸住宅を供給するといったような形で、高齢者の住みかえ支援制度というのを昨年十月に開始いたしました。
 これは、いわば、中間法人が高齢者の持っている広い住宅を借り上げまして、借り上げたものを子育て世帯に定期借家でまたお貸しする、こういったようなモデル事業でございます。昨年の十月からですので、まだ三カ月足らずというところでございますが、現在、約八十件につきまして具体的な物件の査定を行いまして、順次借り上げを開始いたしたところでございます。
 この事業でございますけれども、首都圏を中心とした限定的な地域という形で始めさせていただいたわけでございますけれども、今後、順次対象地域の拡大を図っていきたいというふうに思っております。この事業の成果を踏まえまして、本格的な事業を実施する際には、現在、中間法人というところが借り上げ主体となっておりますが、これがひょっとしたら新しいビジネスモデルになって、民間の方でも同じようなことをやっていただけるということであれば、参加していただくとありがたいなと思っているところでございます。
○木挽分科員 高齢者の住みかえ支援制度、その主体が早く民間に移行すればなと私も思います。
 次に、ちょっと団塊世代の話に集中しますが、家父長制の両親のもとで育てられているこの世代ですが、心のどこかで、最後は自分が親の面倒を見なければと思っているところがおありです。それも、できれば介護施設や老人施設ではなくて一緒に暮らして面倒を見たいと思っていらっしゃる。
 今御説明いただいた、高齢者に対するユニバーサルデザイン化を促進するようなお話もありましたが、具体的に、今後、団塊世代の方がさらに老親の介護、面倒を見るというようなことが急増してくる中にあって、高齢者の住む住宅にあってそういったユニバーサルデザイン化を促進する必要がある。この点で、税制など、施策の上で具体的な取り組みがあれば、御紹介いただきたいと思います。
○榊政府参考人 先ほど申し上げました住生活基本計画の中で、住宅のバリアフリー化率といいますか、高齢者の居住する住宅のバリアフリー化率というところにつきまして、平成二十七年で目標値を設定いたしております。
 具体的に申し上げますと、手すりの設置、屋内の段差解消が図られた住宅、現在では約三割程度しかございませんが、これを七五%に引き上げる。それから、介護が必要な状況を前提といたしまして、車いすが通行可能な廊下幅の確保といったような住宅でございますと、現在六・七%程度しかございませんが、これを二五%に引き上げることにいたしまして、各種の施策に取り組んでおります。
 今法律を出しておるところでございますが、今般の税制改正におきまして、バリアフリー改修工事を行った場合に、住宅ローン残高の一定割合を五年間所得税額から控除するといったことですとか、固定資産税を一年間三分の一減額するといったような住宅のバリアフリー改修促進税制を創設する予定でございまして、バリアフリー化の取り組みを一層加速いたしたいというふうに思っておるところでございます。
○木挽分科員 いわゆる使いやすさにかんがみて、今まで大きな借金をしたときに税制の優遇があったものが、非常に細かなものでもされるという、この点は非常に私も評価しているところでございます。
 時間の関係もございますので、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、よくテレビなんかで、団塊世代のリタイア後の夢は田舎暮らしなんて番組でやったりしているんですけれども、先日読売ウイークリーが実施した調査を見ると、五十五歳から五十九歳の男女で、老後にそういった田舎に移住したい人は二五%、つまり四人に三人は、逆に、田舎には暮らしたくないんだ、都市生活の便利なところで暮らしたいんだ、そういった意思を持っているんだと読み取れると思います。
 こうした人たちは、地方から東京近郊に住み、やっとマイホームを持った人たちが多い。それこそ、田舎に住む両親の面倒を見なければならなかったり、生活の基盤が向こうにあるなら別ですけれども、あえて田舎に戻ろうとは考えない。田舎で暮らしたいと思っているのは、都市圏のサラリーマン家庭に生まれ育った方に多く見られるのではないかと私は思っております。
 老後の暮らしや便利さ、さらには医療サービスなんかを考えたら、むしろ都市志向が強まる可能性が高い。事実、大都市近郊に住む団塊世代では、住んでみたいところとして都会を希望する数字が田舎を上回っています。
 そうした中にあって、例えば、いざというときやふだんの生活の便利さを考慮して、高齢者の方が単身となったときなどに都市に住む子供の世帯と一緒に暮らすには、さまざまな事情もあり、なかなか一緒に暮らすということはできないですね。では、近所に住もうかという話が当然出てくると思います。
 子供の世帯近くに居住しようとしても、高齢者の単身などでは、そういう一方で、賃貸物件を借りようとしたときに入居を拒否されることがあるというふうに伺っています。その数字は大体一割弱。こうした現況にかんがみて、高齢者に加えて、障害者などハンディキャップを持った方々に対して、先ほどもちょっと話がありましたが、福祉など関連する部局とどのように連携して対応しようとしているのか、その方向性と具体的なものがあれば、ここで御紹介いただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 高齢者、障害者、あるいは子育て支援が必要な人、あるいはDV、ドメスティック・バイオレンスでなかなか地域において賃貸住宅に入れてもらえないような人たちのために、我々、地域優良賃貸住宅制度というものをつくりました。
 民間の賃貸住宅業者が家を建てる際に、そういう弱い立場にある人に優先して貸してやってもいいというものに対しては、その住宅を建てる際に国あるいは地方が相当な助成をしよう、そしてこれを登録していただきまして、我々の方で、そういう弱い立場にある人に優先的に入っていただく、抽選もありますけれども、入っていただくようにしよう。そして、その人たちに対しては、賃貸人にとっては、賃料を本当に払ってもらえるのかなということを心配されると思うんですね。したがいまして、そういう人たちのために賃料債務の保証をするということ。それからもう一つは、出ていくときとかあるいは亡くなったときに困りますね、そういうときの原状回復義務についても保証する。それから、家賃の補助をするというようなことを始めておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○木挽分科員 今御説明いただきました、高齢者や障害者、また外国人の方、DVも含めまして、入居制限のケースはどうしても見受けることもありますし、そこここで私も拝見する、また聞くことがございます。
 さまざまな分野で共生が叫ばれる時代です。住宅情報誌のCMじゃないですけれども、これらの入居をスムーズに進めるために、まだまだこうした情報が行き渡っていない面が私はあると思うんですね。行政、不動産業者、あるいはNPOなどの方々との協力関係も大切だと思います。
 大臣みずから御説明をいただきましたが、住宅セーフティーネットの充実に向けた取り組みについてお話しいただいた内容、非常に私も感銘いたしました。地域優良賃貸住宅、民間の賃貸住宅業者が社会的に弱い立場の人たちに優先的に入っていただくような住宅を建てようという気にさせる、いわゆるそのためのインセンティブを感じさせるような政策をこれからもどんどんどんどん打ち出していっていただきたいなと思います。
 社会環境の変化に、あるいは地域特性に応じて各地域で頑張っていただけるような政策を今後も期待して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。」