ロバート・スペクター『ノードストローム ウェイ~絶対にノーと言わない百貨店』 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

ロバート・スペクター『ノードストローム ウェイ~絶対にノーと言わない百貨店』

アメリカの百貨店業界をここ20年以上リードしているノードストロームにジャーナリストが密着取材した一冊。
前半のノードストロームの行っているサービスと会社の歴史にはぐいぐい引き込まれたが、後半(212ページ以降)はグタグダ。後半はなくて良かった。

この店、とにかく従業員への権限委譲が徹底している。
従業員は顧客のためなら基本的に違法行為以外は何でも許される。(もちろん、あらゆる返品もレシートすらなしでも受け入れる。)
たとえば、お客様の望む商品がなければ他店から買ってきてお客様に提供してもよいし、お客様の忘れ物を渡すためにはタクシーで空港までも追いかける。
そんなホスピテリティの塊のようなサービス、そして、徹底した空間へのこだわりなど、とにかくお客をひきつけてやまない空間がノードストロームなのだ(らしい)。

この組織は組織図の頂点に顧客があり、底辺には経営陣がある。そして、やっていることはまさにその組織図の徹底。

私は役所の仕事をやっているが、役所は典型的な客商売(といういつ面を強烈に持つ)であり、本書から学ぶべき点は大きい。
すべての役人にサービスとは何か、ということを学ぶために読ませたい一冊。
読む者はその半端でない顧客中心主義にワクワクすると思う。
次にアメリカに行く機会があれば私も店に立ち寄ってみようと思う。

一方で、後半は変な宣伝めいた「ヨイショ」があふれていて最悪。この著者は極端な二面性を併せ持つらしいですね。