視察報告~新潟県上越市(2008.10.17) | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

視察報告~新潟県上越市(2008.10.17)

◎上越市の概要

人口 208,656人(20年10月末時点)=和光市の約2.7倍。

面積 973.3平方キロ=和光市の約80倍

(市内で最も遠い集落から市役所までは車で40分程度。また合併前の役場が総合事務所として残っている。当該地域の入札は総合事務所で行っている)


◎視察内容~入札監視委員会制度


①制度導入の沿革

平成13年「入札契約適正化法」に適応するため平成14年に対策室を設けた。その後、この流れの中で入札・契約手続きについて、有識者等第三者の意見を反映し、客観性・透明性を高め、公平・公正な入札・契約制度とするために、平成15年7月に入札監視委員会を設置した。


②委員構成

有識者と公募市民による委員会を設置している。

・有識者(行政系の学者、法律・行政事務に明るい人。3名)と公募市民(合併後2名増員で4名)で構成

・公募市民に関しては市民目線で契約制度に素朴な疑問を出してもらうのが目的。

公募*への応募者は例年10~15名(担当としては多く集まっているとの認識)

*選考基準は~建設的な意見を持っている/会議で積極的な意見を言える/市の現状や入札制度にある程度の知識を持っている/(さらに同程度のポイントの人が複数いた場合)前回申し込んだ人の方が上位/(同)他の審議会の委員の数が少ない方が上位 というもの。さらに、地域性と男女比にも配慮しているという


③行っている事務

定例会及び再苦情会議がある。

・工事契約の実施状況について報告を求め、報告の中から10件程度案件を抽出し、契約方法の適否(指名の方法は適正か、随意契約にしたけれど良かったのか・・・)等について審議する(談合などの不正行為の摘発を目的とするものではない)

・業者からの苦情があった場合、一回目は契約課で受け付け、説明を行う、契約課の説明で納得が得られない場合は入札監視委員会で再苦情を受け付け、審議する(再苦情会議。実施例なし)

・委員会で必要と認めたことを審議することもできる


④扱う案件

工事入札に関しては130万円(入札基準)以上。物品(160万円以上)、委託等(100万円以上)に関しては次回より試行。


⑤会議の回数

定例会議は今年度まで年間3回。来年度からは4回となる。


⑥主な提言と見直し事項

・指名業者数を増やす

・指名業者名は事前公表から事後公表に

・一般競争入札(条件付き)の拡大

・最低制限価格制度から低価格入札調査制度への移行

・総合評価方式の導入

・物品契約、委託契約等も会議の対象に


⑦その他

・落札率は平成15年度平均95.4%から、平成20年度(10月17日現在)90.6%へと下がっている

・(担当者の所感として)やった方が良いとわかっていることでもやりにくいことがあり、市民の声を背景に持つことでそれが実行できた

・この委員会は不正を取り締まる委員会という趣旨のものではないが、不正の疑いがある場合は調査をすることもある。ただし、結局は推測で終わってしまう

・行政だけだと前年踏襲になりがちだが、市民委員の声があるから積極的に改革できる

・豪雪地帯であり、地すべりの多発地帯でもあるため、地域の事業者への配慮は市長自ら推奨している

・公募委員にも意見を積極的に言う人と言わない人がいる

・直接コストは「委員の報償費7.2万円×開催回数」

・業者にとっては負担の重い除雪を請け負ってくれる事業者を優遇している

・損害賠償条項の賠償率が一般的な10%の倍に設定されている。これは抑止効果を狙ったもの

・事業者は過剰であり、つぶれたところもある


⑧所感

・建設業が地域に閉じている上越市は和光市とは条件が異なる

・市の規模は異なるがさほどコストのかからない制度であり、和光市でも十分に実現可能性があり、積極的に推進すべきである

・公募市民の評価ポイントの公表は正当なものであり、市民の納得性を高めるためにも和光市でも行うべきである

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