朝霞地区四市議員研修会in和光 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

朝霞地区四市議員研修会in和光

今日は拓殖大学教授の高久泰文先生(元参議院法制局職員)を講師に迎えての議員研修会。

立法技術がらみの話ということで非常に楽しみにしていました。

ただ、残念ながら今回は非常に入門的なところの話が多くて、三分の二は法学入門という感じでした。

中身を軽くご紹介します。

 

まず、最初に始まったのは法律はいったいいくつあるのか、という話。

まあ、これは下記に尽きているのでご参照いただくとして、ここでかなりの時間を割いたことで、あとの方がおしてしまったのは残念です。

http://law.e-gov.go.jp/announce.html

ただ、議員でも法学部出身者は意外に少ないのでああいう話からはいるのは仕方がないのかもしれません。

 

その後、内容に入って行きました。

まず、法律は行為規範なので厳密に書く必要があり、わかりやすく書くということは非常に困難だということ。

その例として、次のような事例がある。

「金魚の水を換えてくれ」

は当然、日常用語としてはいいとしても法律的な文章としては失格。

「金魚のいる金魚鉢の中の水を換えてくれ」というのが正解。

あるいは、あるお坊さんが念珠を注文した時の話

「二つ折りにしてくびにかける長さの念珠」と注文されたらどうなるか。

これは二つの場合がある。

「二つ折りにし、手首にかける長さ」なのか、あるいは「二つ折りにして、首にかける長さなのか」。

次に、あいまいさを避けるべきであるという話。

憲法9条の有名な、戦力を一切保持しないのか、あるいは自衛は許されるのか、というネタ。

 

次に、法律や条例のタイトルの付け方には二つの原則があるという話。

まず、中身を正確に書かなければならないという話。

「何となくクリスタル」

「限りなく透明に近いブルー」

は文芸作品のタイトルとしてはいいけれど、法律はこれではだめ。

だからどうしても長くなる。

ちなみに、一番長いタイトルは98文字ある。

*聞き間違いかもしれません。一番長いのは「テロ特措法平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」だと思います。

 

一方で、法律名は簡素でなければならないという原則もあります。ま、無理があるわけですが。

 

次に法律の言い回しの話。

 

「A及びBならびにC」の場合、AとBは並列、Cはそうでないものになっている。

 

「A又はB若しくはC」の場合もCは一段ランクが下がる。

 

「とき」と「時」は、「とき」なら「~のとき」ということ。「時」は時間。

で、「とき」と「場合」も使い分ける。

その場合、「場合」は「とき」より広いものに使う。

雨が降った「場合」における傘がない「とき」。

 

解釈の幅がないように正確に書くのが基本だが、一方で解釈に幅が出てしまうのはやむを得ないこと。

解釈には類推解釈や拡張解釈がある。

ただ、刑法については罪刑法定主義がある。

 

あと、事後法もダメ。

 

次に憲法を見ながらいろいろとダメ出し。

「絶対に」「必ず」など法律に適しない言葉を多用してる。

 

次に、条例について、基本的に法律の範囲内で、というのが原則だが、ここが緩和されてきている。公害規制では上乗せ・横出し規制が認められている。

これは、法律はナショナルミニマムであり、地域に適した公害規制があるべきという考え方から。

 

ちなみに、議会基本条例については日常、ウォッチされていないようで中身への言及はありませんでした。

 

以上、今日のメモからです。

 

憲法を題材にした法技術的な話は実際にはもっといろいろあって、大変面白かったです。