自治体財政指標で忘れられていること
自治体の財政を分析する指標には体系があって、総務省決算カードにある指標と、そのほかに総務省のモデル計算である標準財政規模などを使うんだけど決算カードにはない周辺指標があります。
私が常々思っているのはこの、標準財政規模などのモデル計算を指標のキーにしている限り、総務省の財政支配からは脱出できないということ。
つまり、総務省はその計算式の中にある細かいところを少しずついじくることで標準財政規模などを簡単に動かすことができます。
簡単に言えば、10年前の標準財政規模に入っている中身と今の中身ではどこも少しずつ違うのです。
なので、実はこれを長期比較してもある意味で限界があるんです。
これは誰も触れていなくて不思議なんですが、総務省の自治体支配力の一部はここにあると思います。
昔、度量衡を決めることは権力のなせる技であって、度量衡は権力者しか決められない、さらに、権力者はその升目を変えることで臣民を自在に支配してきた、ということを以前編集した『公会計の理論』(吉田寛)で読んで高校の歴史の授業を思い出し、うなったことがあります。
さらに、その話は総務省の自治体支配力にも関係していたとは!(笑
今、『地方財務』という雑誌では関学の小西砂千夫教授が新公会計(自治体BSなど)の体系の使い方、という趣旨の連載をしておられて、そこでは延々とほとんどの財政的なシグナルは従来型の財政指標で読み解ける、と述べておられます。
確かにそうです。
で・も・ね、小西さんですら大切なことを見逃しています。
あの体系は上述の標準財政規模とかをベースにしていて、勝手に分母が動かされていく体系なんですよね。
新公会計の、というより自治体の新しい複式体系のポイントは、総務省の役人が決めた、そしていつでも動かせる、標準財政規模の体系から自治体が脱出できるかもしれない、という話なんですよ。
つまり、総資産とか純資産を分母にすれば基本的には総務省は手が出ないわけです。
ただ、新公会計の体系には落とし穴があって、肝心の会計基準を設定する主体がやはり総務省なんですよ。
企業会計は曲がりなりにも企業会計審議会ではなく、独立した、企業の会費で成り立っているASBで決められています。何しろ、会計というものは商売人の自治のルールから出たものなんですから。
で、結論はというと、新公会計による分析の体系が必要であるということ、公会計基準の設定は自治体がやるべきだということ、この二つに尽きます。