「ふるさと納税+寄付条例」という市民自治ツール | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

「ふるさと納税+寄付条例」という市民自治ツール

(2009年時点で制度に基づく記事です)

昨年9月定例会の一般質問で私が提案した寄付条例という制度があります。
住民の寄付について使途の指定など取り扱い手続きを定め、積極的に寄付を募ろうというもの。
埼玉では鶴ヶ島市が採用しています。

これが注目されつつあります。背景にあるのは「ふるさと納税制度」。
ふるさと納税は個人が都道府県や市区町村に寄附をした場合、5,000円を超える金額について、所得税と合わせて一定の限度(市町村なら個人住民税所得割の1割までしか控除されないなど)まで個人住民税から控除される制度。
これは主として地方、僻地に都市部から税金を流そうという趣旨なのですが、市民自治にも使えるんです!

5000円を余分に納税することになるのですが、まず、「足による投票」が低コストで出来るのがポイント。 つまり、「ダメ自治体」に対応する最大の手段は引越しなのですが、これはコストが高いのでなかなかできません。
しかし、この制度を使うことで、自分の税金をダメ自治体から一部避難させられるのです。コストは5000円。これは大きいと思いませんか。


一部の自治体ではその寄付した条例の使い道を指定できる「寄付条例」を定めています。

これは、使途を限定することで寄付をたくさん集めようという作戦なのですが、これが百花繚乱。
たとえば、鳥取県内だと・・・

http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=83400
子育て、砂丘、教育、まちづくり、ジュニアスポーツ振興・・・といろいろあります。
自分の自治体の首長や議員が能無しで、無駄遣いばかりしていたら、5000円損してでも賛同できる自治体に税金を流すことで、「無駄遣い被害」を少なく出来ます。
あまりに税の流出が大きければ経営責任になるし、あるいは首長や議員も自らのダメ加減を痛感することと思います(思えなければクビ!)。

次に、この制度は地元自治体に対する寄付による投票、という使い方が出来うるのです。
自治体に定めがあることが前提ですが、自治体の示すメニューのいずれかに自分の支払う税の使途を固定することで、施策の大まかな支持を自ら意思表示できます。つまり、10%は教育費だよ、という使い方が出来るのです。5000円損しても、これは大きいですね。

さて、ここまで述べたように、魅力あるメニューを提示することで自治体は他の地域から寄付を集められるというのが趣旨の制度なのですが、この制度をうまく機能させることで、住民の納税への興味と満足感が高まり、都市部の自治体は住民のカネが他の地域に流出することを防ぐことも出来ます

和光市でも昨年の私の一般質問では「研究します」と言っていましたが、制度がはっきりした以上、私の言う線で制度を採用する他ないと思います。

付録 税金の軽減の時期 
◎所得税 寄附をした年の所得税が軽減されます。 
◎住民税 寄附をした翌年度の住民税が軽減されます。