市民と議員の条例づくり交流会議「予算改革を始めよう」1
毎年年2回のイベント形式でシンポジウムを行ってきた「市民と議員の条例づくり交流会議」の2008プレ企画が行われました。
タイトルは「予算改革を始めよう」!
予算編成~審議の過程の透明化、予算審議の改善など、私もこれまで取り組み、考えてきたテーマで、本当に実りのある企画でした。
今までは、この会議については都合が合うときに申し込むという形でしたが、縁あって企画段階から参加させていただき、プレゼンターとして和光市の現状についても紹介させていただきました。
まず、前我孫子市長の福嶋浩彦さんから、予算編成過程の透明化を中心に我孫子での取り組みの報告がありました。
簡単に私のメモからご紹介します。
まず、福嶋さんの理念から。
「我孫子市議として、さらに我孫子市長として、市民自治を理念としてきました。
地域の方向性は市民が決める、そして、市民ができるところは市民で、それが不可能なところは行政が税を使ってやる、というのが基本です。
さらに、行政でもなるべく市民に近いところにある市町村がメインで、そこでできないことは都道府県、そこでも無理なことは国、というのがあるべき姿と思っています(補完性)。
分権の意義は行政の権力、カネが市民に近い所に来ることで市民(主権者)がコントロールしやすくなる、というところにあります」
この理念を実現するために福嶋さんは市民が行政を変えるんだとおっしゃいます。
「まずは選挙を通してコントロールすることです。選挙が雰囲気や人気投票に堕してしまっていてはダメです。そこで、政策で候補者を判断できるよう、ローカルマニュフェストが大切になります。
さらに、選挙と並んで大切なのは市民が日常的に、徹底的に市政へ直接参加していくのが大切だということです」
具体的には・・・
「予算は予算主義を採る行政にとって最も大切で基本ですから、ここへの参加が大切だと考え、予算編成への参加に取り組みました。
最初は予算の編成途中でタウンミーティングをやったりしましたが、2006年度の予算編成から、予算編成過程の公表に取り組みました。
これは広い意味での新規事業(新規事業と大幅な事業変更、増加のあった事業)について、中途で市民に公表し、パブリックコメントを求めるというものです。
具体的には各課の要求から査定の結果までサイトと各施設で公表し、査定の都度パブリックコメントを求めました。我孫子市では4段階の査定があり、その段階ごとにこれをやりました。
たとえば市民が各課に陳情したとして、各課が本当に予算を上げたかどうか、あるいは誰かが査定で落としたとか、増額したとか、そういうことがリアルに見えるようになります。
市民は自分の要望を市に伝え、市は市民の要望が市のまちづくりの方向性と合致すれば予算の範囲で実現させます。また、実現しないなら、市民は市のまちづくりの方針か果たしていいのか、と考え、結果的に市民は要望を通してまちづくり全体を意識するようになります。もちろん、我孫子もまた、その課程の途上にあるのです」
この中途の公表については和光市でも大変そう、という意識があり、おっかなびっくりで昨年秋に第一段階の公表をしたのですが、福嶋氏はこう語ります。
「パブリックコメントに答えるのは予算編成という大きな仕事の途中なので大変ですよ」
ただ、徹底的に市の動きを市民と共有するという理念を実現するためには、これが欠かせない作業だ、というのが背景にはあったのでしょう。ただし・・・
「パブリックコメントとしてはやはり、市の全体的な方向性に関するものだとかそういうものはまだまだ少なくて、多くは従来の陳情の延長線上にあるものです」
だとか。いずれにしても、福嶋氏の行った予算編成過程の透明化の作業は、鳥取県庁の片山前知事の事例と並んで今、静かなブームを巻き起こしています。
その証拠に今回のプレ企画では何と、200名以上もの参加者が法政大学の会場に集結しました。
さて、この福嶋氏の講演、まだ続きがありますが、今日はこのあたりで・・・。