むしろ、エンロン事件を誰も知らないことの衝撃 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

むしろ、エンロン事件を誰も知らないことの衝撃

池田信夫氏のblog記事「新たなる資本主義の正体 」を読んでいて記事の内容は内容で納得なのですが、それ以上に個人的に衝撃だったのは「エンロン事件」を「日経」を読まない一般社会の人々はほとんど誰も知らないか完全に忘れ去っているという事実。


数年前、アメリカの友人の家で小さなパーティがあったとき、エンロン事件が話題になった。「日本ではエンロンってどれぐらい話題になった?」ときくので、私が「ほとんどの日本人は社名も知らないと思うよ」と答えると(上記記事より転載)


というくだりがあったので、「池田先生、その受け答えは誇張でしょう。さらに、一過性のスキャンダルは言いすぎでしょ」と思い、試しに周囲の人々数人に聞いてみても、いわゆる会計業界の人を除けば誰も知らなかったので、私としてはその点に本当に驚いてしまったわけです。


エンロン事件は「2000年度年間売上高1,110億ドル(全米第7位)、2001年の社員数21,000名という、全米でも有数の大企業であったエンロンが、巨額の不正経理・不正取引が明るみに出ることで、2001年12月に破綻に追い込まれた」という事件。

「破綻時の負債総額は諸説あるが少なくとも310億ドル、簿外債務を含めると400億ドルを超えていたのではないかとも言われている。2002年7月のワールドコム破綻まではアメリカ史上最大の企業破綻」であったという。(カッコ内はウイキペディアの記載を要約。)

今でもエンロンというブランド(?)は電力などの自由化を否定する人々が重宝するネタになっています。(ある程度の自由化をしないと日本社会の高コスト体質は改善できないのですが・・・。)


で、この事件で多くの人が驚いたのは世界でもっとも進歩した、厳しい会計基準を自認していたアメリカの会計基準が会社とつるんだ公認会計士の協力の下では、不正の抑止力にはならなかったということ。

もちろん、完全無欠の会計基準はない、という事実を多くの人々が直感的に理解しているものの、こういう形でそれが露骨に立証されたことに、私としても当時は衝撃を受けたものです。こういう事件がアメリカで、と人々は驚きました。

(さらに、一定以上の膨大なデータにウソを大量に混ぜ込むと、もはや誰もそれに気付かない、というよく考えてみれば当たり前の真実を教えられた事件でもありました。)


また、品質管理にうるさい会計事務所としてその直前まで賞賛の的だったアーサーアンダーセンがあっさりと崩壊したことにも強い衝撃を感じたものです。

特に、アンダーセンブランドを冠するいくつかの企業がらの仕事をたくさんやっていた私としては、恐らく生涯忘れられない事件です。


正直、誰もが知っている事件であると思い込んでいたのですが・・・。


いや、驚きました。

間もなく日本版SOX法が施行されます。ますます会社での仕事にややこしい手続きが入りこむのですが、その背後にこの事件があります。


すみません、結論がこれで。