「公開シンポジウム 世代会計からみた家族の近未来」終わり | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

「公開シンポジウム 世代会計からみた家族の近未来」終わり

評論家の山下悦子さんが主宰する「ラ・フェミニテ事務所」によるシンポジウム「世代会計からみた家族の近未来」に参加してきました。

経済アナリストで『若者を喰い物にし続ける社会』(洋泉社)『地価「最終」暴落』(光文社)の著者、立木信さんと、黒部美子さん(インターナショナル・ランゲージ・ハウスという英語幼稚園の経営者、山下真弥さん(帰国子女作家)、というお三方とともに、「世代会計」を切り口に家族を取り巻く今の日本社会、そしてこれからのことを話し合いました。

また、会場に来てくださった方々とのやり取りも印象的でした。


立木さんは世代会計の紹介とともに、家族機能の外部化が家族そのものを解体してる現状を、綿密な取材結果とともに語ってくださいました。

私は地方行政における「あるべき家庭像の不在」「子育て支援の的外れ加減、金額の不足」「意思決定機関における若者不足」などについてお話をしました。

さらに、黒部さんはアメリカにおける家族、そして主婦の会話と、日本におけるそれと比較などを小気味よく語ってくださいました。

そして、山下さんは日米の家族間の違い、恋愛感の違い、そして、能力を発揮できないまま敗れ去りつつある日本への苛立ちのようなものをぶつけてくださいました。


会場とのやり取りの中では、ある出版社の方の、「伝えるべきことが伝えられていない」という声が同じ1人の編集屋として、心に残りました。

また、よき先輩でありつつ大切な仲間でもある、東松山の松坂議長もその議員としてのいろいろな実感を語ってくれました。

皆さん、現状に安住せず、未来を切り開きたいと強く思っている、そう実感しました。


ちなみに、世代会計はコトリコフにより提唱された歴史の浅い研究領域ですが、少子高齢化が各国で進み、財政赤字の垂れ流しが問題になってからは大いに注目されています。

世代会計は「各世代別に、政府に対する支払い(税金の納付、国債の購入、年金の支払い)と政府からの受け取り(補助金の受け取り、国債の利払いの受け取り、年金給付)をそれぞれ分類して、しかもそれをある世代に属している人が一生の間に合計でどれだけ受け取ったり支払ったりしているかを計算して、世代別の損得勘定を確定すること」(現代用語の基礎知識)とされています。

世代間の損得勘定を浮き彫りにするもので、単なる財政赤字の数値よりはよほどの説得力を持っています。

これを機に、世代会計についてぜひ、いろいろと調べていただくことをお勧めします。

フィナンシャルレビュー」の論文 が参考になると思います。

私の『自治体連続破綻の時代 』(洋泉社)でも、かなり世代会計を意識して書いた部分があります。参考文献一覧に、論文も挙げています。