決算カードの収支の構造について見てみましょうか・・・
総務省方式決算カード(例:大阪府下の自治体 17年度)の右上にある収支の構造の見方です。
私の著書『自治体連続破綻の時代』(洋泉社)には別の角度から説明してあります。
Ⅰ 歳入総額 (+)
Ⅱ 歳出総額 (-)
Ⅲ 歳入歳出差引(形式収支) (Ⅰ-Ⅱ)
Ⅳ 翌年度に繰り越すべき財源 (-)
Ⅴ 実質収支 (Ⅲ-Ⅳ)
Ⅵ 前年度の実質収支 (-)決算カードには出てこない過去の蓄積
Ⅶ 単年度収支 (Ⅴ-Ⅵ) よく新聞報道で出る「赤字、黒字」
Ⅷ 財政調整基金への積み立て
及び地方債の繰上償還額 (+)
Ⅸ 財政調整基金の取崩し額 (-)
Ⅹ 実質単年度収支 (Ⅶ+Ⅷ-Ⅸ)これがプラマイゼロなら均衡財政
・歳入歳出差引(いわゆる形式収支)
歳入決算総額から歳出決算総額を差し引いた歳入歳出差引額
・実質収支
その年度に属すべき収入と支出との実質的な差額をみるもの。形式収支から、翌年度に繰り越すべき継続費逓次繰越(継続費の毎年度の執行残額を継続最終年度まで逓次繰り越すこと)、繰越明許費繰越(歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由等により年度内に支出を終わらない見込みのものを、予算の定めるところにより翌年度に繰り越すこと)等の財源を控除した額。この数字にはほとんど意味がない
・単年度収支
実質収支は前年度以前からの収支の累積なので、その影響を控除した単年度の収支。具体的には、当該年度における実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額。貯金等を使ったやりくりや、あるいは余ったカネの貯金などを計算に入れた当年度の収支。つまり、化粧済みの成績。従来の新聞報道の「市町村が赤字、黒字」の根拠(いかにマスコミが地方財政を理解して報道してこなかったかが分かる。ちなみに、最近の若手記者にはこの点、勉強している人がたくさん出てきた。これは良い兆し)
・実質単年度収支
単年度収支から、実質的な黒字要素(財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額)を加え、赤字要素(財政調整基金の取崩し額)を差し引いた額。つまり、年度の実質的なお金の最終的な収支。ゼロで普通会計ベースの均衡財政。ここがマイナスだと後年度の負担が増え、ここがプラスだと減るということになる。連続赤字は連続して次世代にツケ回しをしているということで論外。
家計で言うなら、貯金と貯金取り崩しを相殺した、年度の純粋な収支に相当。
15日の千葉商科大学と公会計研究所の共催の講座 では、この先、具体的なケースについて時間の許す限り見ていきます!