限界集落等での農地売却基準の緩和を | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

限界集落等での農地売却基準の緩和を

最近、僻地、特に限界集落等での耕作放棄地が目に見えて増えています。一旦耕作放棄地となると、農地はあっという間に荒地になります。木が生えてしまったら、そこを再度農地にするのはものすごく大変です。


先般仕事で訪問した奄美大島でも、あるいはその他の地方の農業地域でもそうですが、とにかく高齢化等で泣く泣く耕作を諦めた、という農地がたくさんあります。都会や郊外の農地と異なり、耕すか放置するしかない農地がこれら続々と原野に戻るでしょう。


一方で、団塊世代を中心に、都心で働いてきたサラリーマンに、老後は地方で無理のない範囲で畑を耕したいというニーズが大きくなっています。

本当の限界集落ではどうか分かりませんが、地方で小規模ながらも畑をやりたいという中高年のニーズは高いのです。

そこで立ちはだかるのが、40アールあるいは50アールという就農の最低面積要件です。


正直なところ、都会の人々の体力やスキルからしてこの規模の農地を耕作するのは多くの場合、不可能です。また、の面積では農機具を一通りそろえざるを得ません。

ニーズが多いのは家庭菜園や市民農園に毛か生えた程度の小規模な畑作なので、この要件は実質的に「ものすごく気合の入った就農希望者」以外を締め出す基準として機能しています。

そもそも、この基準は効率的な農業経営のために作られたものです。しかし、これは石油を大量消費することによる「プロ」の大規模農業以外は認めないというものでもあり、そろそろ見えてきた石油一点張りの農業の危機を考えると時代にそぐわなくなってきたとも言えます。

まずは、意欲的な地方の一自治体が構想改革特区制度を利用して、年金をもらいながらの超ミニ農家というモデルを実現し、限界集落の再生、地方の耕作放棄地の再生を図っていただけないかと切に思います。具体的には数アール~10アール程度の超ミニ農家を定義づけ、そこに小規模の農地保有等を認め、主として年金生活者に就農していただきます。


まもなく、いつでも食料危機の引き金が引かれ得る時代がやってきます。

これは、そんなとき、この国にどれだけ機能する農地が残っているか、そのためのチャレンジでもあります。