実質公債費比率をざっくり言うと(新ランキング付き)~ハムスターでもわかる自治体財政用語シリーズ
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これから、大切な指標についてよりわかりやすくを目標にときどき説明してみます。
とくに、実質公債費比率は私のブログに検索で来てくださる方の数が一番多いため、取り急ぎ解説しておきます。
実質公債費比率をざっくり言うと、
「標準財政規模(自治体のあるべき税収+普通地方交付税+地方譲与税など)に占める
地方債の元利償還金(交付税充当分を除く)と下水道、地下鉄など公営企業債の返済に充てた繰り出し金などの割合
なんですが、そのうち、実際には返さなくても済んでいる部分があるのでそれを分子と分母から取り除いたもの」です。
つまり、
ざっくりと数式にすると、
実質公債費比率
「一般会計の借金の返済(元本、利息)」
+「その他の会計の借金返済(元本、利息)
のうち、一般会計で面倒を見るもの」
-「借金のうち実質的に自治体の負担にならない部分*1」
= ------------------------------------------------
「標準財政規模」
-「借金のうち実質的に自治体の負担にならない部分*1」
*1 なぜ、負担にならないかと言うと、地方交付税を計算するときに一部の借金の面倒は国に見てもらえるから。
もっともっとざっくり言うと
自治体のほとんど全ての借金の返済(元本と利息)*2
=----------------------------------------------
用途が指定されておらず、自治体が資金の
用途を決められる収入について理論的に計算した値*2
*2 ただし、実質的に自治体の負担にならない部分が多少あるのでこれは除く。
で、青字の部分(下水道会計とか地下鉄の企業会計とか・・・・)を取り除くと起債制限比率になる。
この、標準財政規模に占める地方債の元利償還金(交付税充当分を除く)である「起債制限比率」と比較すると実質公債費比率は起債制限比率より平均4%高くなるとされている。
起債制限比率は旧来の財政破綻の指標。これに下水道とか地下鉄などの会計を連結した指標が実質公債費比率だから、こちらの方が信頼性が高いということだ。
ただし、公表されている実質公債費比率は過去3年の平均値(つまり、今<平成18年のこと>公表されている指標は平成15、16、17年度の数値の平均値)なので、遅行指標(問題が起きて数年してから悪くなる指標)である。
最後に、これでもかと単純化すると、
実質公債費比率とは、国が決めた「その自治体が自分で使い道を決められる使えるお金はこんなもん」という金額のうち、借金返済に使っているお金は何パーセントあるかということ。
実質公債費比率は自治体の公債発行の基準となる指標になっており、これが18%以上だと公債発行は上級官庁の許可が必要。それ未満だと、上級官庁との協議があれば発行できるということになっている。つまり、18%未満を総務省は財政的な一人前の自治体としている、という意味だ。
なお、本式の定義の数式は総務省のリンク先 をご覧ください。
本式の定義に書いてある算式はまったく別物ですから、念のため。
ちなみに、この数式は税法などと同様に法令(地方財政法第5条の4第1項2号)においては文章で表現しています。面白いので見てみてください。
「政令で定める地方債に係る元利償還金(政令で定めるものを除く。以下この号において「地方債の元利償還金」という。)の額(A)と地方債の元利償還金に準ずるものとして政令で定めるもの(以下この号において「準元利償還金」という。)の額(B)との合算額から地方債の元利償還金又は準元利償還金の財源に充当することのできる特定の歳入に相当する金額(C)と地方交付税法の定めるところにより地方債に係る元利償還に要する経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入される額として総務省令で定めるところにより算定した額(特別区にあつては、これに相当する額として総務大臣が定める額とする。以下この号において「算入公債費の額」という。)(D)との合算額を控除した額を標準的な規模の収入の額として政令で定めるところにより算定した額(E)から算入公債費の額(D)を控除した額で除して得た数値で当該年度前三年度内の各年度に係るものを合算したものの三分の一の数値」
(笑
で、Bの中身は政令で指定されています。ここに何を入れるかは、官僚が決定します。