NPO法人こども みらい わこう 主催 福島富士子講演会「地域ネットワークの構築に向けて」
虐待防止講演会第2弾です。
国立保健医療科学院の福島富士子先生が講師でした。
「虐待防止には関係性の構築が不可欠。
そのなかでポイントは出産直後の母子同室と(できれば)母乳で育てること。
しかし、産院にも自治体にも母乳で育てることの大切さへの意識が欠落している。
ある自治体の保健センターでは、入り口の展示コーナーでミルクの展示があった。
ユニセフは生まれた直後から母子同室かどうか、母乳による授乳かどうかという基準で産院を認定している。(その第一号は日赤広尾病院。)
生まれたときに母と赤ん坊が同室であること、そして母乳かどうかは赤ちゃんと母親との関係性の構築に大きく関わる。
この事実について認識している虐待対策関係者が意外に少ない。
浦安市の調査では、新生児の親子が母子同室の割合、母乳の割合、ともに40%。
アメリカ、韓国、フィンランドでは出産後3日で帰宅する。日本は5~6日。
アメリカでは自費なのでとっとと帰りたい。フィンランドでは全額公費なのでとっとと帰される・・・。
フィンランドでは、出産直後の母子同室に父親も加える実験が始まっている。
日本では現状を考えると経済効率の観点からは難しい。しかし、そろそろ経済効率だけにこだわることは止してもいいのではないか。
この3日の間に母子の良好な関係を築くことと、そして、この3日が終わった後のフォロー、両者が大切な課題。
いま、里帰り離婚が話題になっている。
母親が里帰りし、居心地がいいのでなかなか帰ってこない。その間に父親が浮気をし、両者の関係にひびが入る。
特に3歳までの環境は人の心の形成などには大切だから、問題は深刻だ。
夫婦が仲良くないとよい子育てをすることは難しい。そして、子供がいるから仲良くする、というのはいただけない。
男女のトラブルが子育てに悪影響を及ぼすケースが増えている。
そして、これは虐待のきっかけになることもある。
世田谷では、産後ケアサポートセンターという助産院への支援が始まった。産後のケアに注力するという。理由は虐待への対応。家族への支援が虐待予防になる。
子育ての節目は3日、28日、3カ月、3年。
地域コミュニティの再生が言われるが、そもそも日本人は内と外とを分け隔てするなど、関係性の構築が苦手。
まずは挨拶から。
貧困層は特に子供に目を向ける余裕がないため、虐待が多い。
人には付き合う階層というものがあるが、虐待と向き合うためには普段付き合っている階層との付き合いだけでは済まない。
虐待に対応していくためには行き詰ったときに相談する相手が必要。でないと、自分も危ない。
安易な気持ちではだめ。
自分たちに何ができるか、ではなく、私に何ができるか。
家庭に入っていかなければならない場合もある。
覚悟が必要。
つながりを作っていく。
子供である期間と高齢者である期間が長くなった。
誰がサポートするのかというと、家族と近隣。
地域のサポーターをどう作っていくか。」
このあと、グループに分かれて和光市の子育て家庭を取り巻く環境を分析しました。