エリート教育と倫理観~高校単位不足問題 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

エリート教育と倫理観~高校単位不足問題

私が親しくさせていただいている某旧帝大の先生がいつもおっしゃっていることがあります。

それは、「知恵をつけるということは人を出し抜く知恵をつけるということであり、人はかしこくなるほど人をだます傾向がある」(しかも、いわゆる国立のエリート校の場合、その費用の多くは税金で支出されている)ということです。

昔からエリートの悪知恵による犯罪は事欠きません。また、エリートほど権力の中枢に容易に近づくことになることから、エリートの犯罪を未然に予防することは必要な措置です。

だからこそ、欧米や戦前の日本のエリート教育では、曲がりなりにも倫理観が重視されてきました。いわゆる武士の家庭の教育もいろいろと問題はありますが、基本的にはそうでした。


さて、今の日本ではどうかというと、一連の報道でよくわかるように一部の進学校が規制を意図的に潜り抜けて受験に有利になるようなカリキュラムを編成していました。

生徒たちがそのつもりで「ずる」に加担していたかどうかは別にして、学校が将来のエリート的な立場を担おうという生徒たちに「きせる」のようなことをさせてきた、ということは決して軽く考えてはなりません。

「この時期に出てきた裏を読め」「歴史教育強化のきざし」とか、「昔からあった」とかいろいろと意見はありますが、これは別に考えるとして、とりあえず教育を行う人間がこのような汚いことをさせる、というのが問題なのです。


ということで、現在も補助金のカットなどの検討がなされているといいますが、その場しのぎでは済ませず、首謀者、協力者をしっかりと追及し、責任を明確にしなければなりません

知らずに「ずる」に加担させられてきた生徒たちが本当に気の毒です。

また、高等教育の意義について、認識の甘い高校教師があまりに多いことが残念でなりません。

ちなみに、冒頭で言及した先生は「本当にこの学生たちに知恵をつけることがこの学生たちの幸せにつながるのか、正しく生きるのにプラスになるのか」と悩ときがあると言います。

このような意識の教育者が今回の事件の処理を通して増えることを心から願っています。

追記:三行目あたりに多少追加しました。