格差社会についてちょっと考察します2~退職給付債務とはどのぐらいの規模のものだったのか | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

格差社会についてちょっと考察します2~退職給付債務とはどのぐらいの規模のものだったのか

<前回記事>

99年当時の資料を見ると、トヨタやJR東日本がそれぞれ3000億円規模の退職給付債務の積立不足、という記事があります。

本当に荒っぽく議論しますが、トヨタの連結の純利益は絶好調のここ3年、1.1~1.3兆円、JR東日本の連結の純利益はここ3年間1100億~1600億円です。3000億円の巨大さがわかると思います。

それだけの積み立て不足を数年で解消することを企業は当時迫られたのです。

この当時の就職戦線はまさに氷河期でした。

なにしろ、企業は退職給付債務の恐怖で正社員を減らすこと、そして、債務の圧縮をすることで頭が一杯だったのです。

そして、当時、アウトソーシングとか、コ・ソーシングという言葉がビがネス界で広まり始めていました。企業は内製する業務を絞り込むことで、身軽になることを選び始めていたのです。

当時のもう1つのキーワードは不動産流動化ビジネスです。どうですか?

そして、当時の新卒とは、現在30歳前の世代です。まさに、退職給付債務の犠牲者がフリーターや派遣社員として30代をこれからまさに迎える世代なのです。

しつこいですが、どうです?

私の考える格差社会の本質の一端が見えてきましたか?

ということで、退職給付債務をはじめとする過去の重荷がどのようにして会社のスリム化傾向を産み、拍車をかけたかを十分に語れたとは思いませんが、こんな流れが6~7年前にあったのです。