格差社会についてちょっと考察します1~企業が正規雇用をあきらめた理由 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

格差社会についてちょっと考察します1~企業が正規雇用をあきらめた理由

平成10年からの会計制度の会計改革、いわゆる会計ビッグバンで、企業は過去勤務債務と向き合うことを強制されました。つまり、「退職金や企業年金として将来支払う義務がある金額(これを退職給付債務という)」について、「債務」として認識し、財務諸表に一定額(従来の数倍)を掲載することを強制されることになったのです。

これが退職給付会計ショックです。これにより、企業は退職給付債務について、別立てで多額の引当金を積み立てることを義務付けられました。企業の負担は膨れ上がりました。

(ちなみに、当時、退職給付会計制度が導入されていなくても、2007年問題と呼ばれる団塊退職ショックで企業は苦しんだと思います。苦しむ時期の問題でしかないわけです。また、もっと早くこの会計制度改革を行うべきだったということは指摘しておきます。)

企業は黒字を積み上げなければならないので、どこかから搾取する必要に迫られ、日本的雇用ルールを破棄して雇用の流動性を確保しました。また、低コストの派遣社員を大量に使うようになりました。

つづく

(注)会計制度改革が悪いのではありません。会計制度が甘いのに乗じ、将来の負担に備えなかった企業が悪いのです。あえて言えば、そんな企業の対応を許すことになった会計制度は悪かったのですが。ちなみに、不正や不当なことができないしくみを作ることが会社や市場の管理者、政府には求められています。