書評~『水問題原論』(嶋津暉之)
水道料金と水道会計について、決算委員会の予習をしていたときに出合った本です。
要旨は以下の通りです。
日本の水行政はダムを造ることが前提になっているということ、その背景には巨大な利権構造があるということ。
公式発表の水需要は架空の数字でかさ上げされているということ。
毎年繰り返される渇水騒ぎの前提に降水期を前にした、ダムの過大放流という問題が隠されているということ。(意図的な世論操作にマスコミが加担している?)
複雑にからむ水利権の整理がまだまだ手付かずだということ。(さらにはこの問題を整理すれば水は余るのではないかということ。いかにも余りそう。いや、余っている。この点はアサザ基金理事長の飯島さんの話とも繋がります。)
これまで、節水という視点が水行政には不十分だったということ。
三面コンクリート張りの水路が地下水の涵養にはマイナス要因になっているということ。
ダムなどの巨大水源開発の陰に、水道の水源としての地下水が放棄されているという現実があるということ。
ダムは洪水を生むということ。
地下水の有機溶剤汚染騒ぎは水道水源としての地下水の放棄に繋がっているが、実は技術的に簡単に解決できるし、河川水などよりは依然、水質ははるかに良いということ。
地下水の計画的な涵養は可能であり、ダムによる水源開発より安価だということ。
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基本的に目新しい話はないのですが、日本の水行政にはこの国が抱える公共事業の問題構造がモロに現れているということを体系的に学ぶことができました。
良書だと思います。
行政にかかわる人、水道や水問題に関心がある人は一読の価値があります。
明日は一般質問なので、そろそろ寝ます。