やっぱりおかしい。自治体危機ネタの報道管制?~こんな大切なニュース、まともに報道されていますか | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

やっぱりおかしい。自治体危機ネタの報道管制?~こんな大切なニュース、まともに報道されていますか

総務省は自治体の財政再建制度の見直しに着手、各自治体の一時借入金残高を調べているという。

これを受けて、北海道新聞は全国的な自治体財政危機、特に隠れ借金の表面化について指摘している(7/3道新の報道より作成)


しかし、この重大なネタがマスコミではまともに取り上げられていません。

トップ記事が中田引退とか、どうかしています。確かに中田はすごい男でした。しかし、報道の優先順位はニュースの価値にあると思います。命の次に大切なのはお金、とホリエモンは言いました。命の次かどうかは別にして、お金の問題、特に人々の財布に近いところにある自治体の財政危機の優先順位は高いでしょう。これと比較して、中田引退にはニュースとしてそんなにも価値があるのでしょうか?(もちろん、中田引退は一つの例です。)


いままでの私の記事とダブりますが、お付き合いください。


①90年代、クリントン政権の圧力により、「財政出動」が行われました。当時、政権党はこれを好機と公共事業に大量の金を流そうとしました。しかし、クリントン政権の再度の圧力で、一部は減税となりました。

結果として、地方は「公共投資の借金」、適正規模な緊縮財政を伴わない減税を埋めるための赤字地方債である「減税特例債」という巨大なマイナスを背負うことになりました(減税特例債についてはカラクリがあります)。

②その後も景気が十分に回復せず、税収が落ち込んでいます

ずっと昔から予想されていた通りの高齢化で予想通り財政がパンクしかかっています。

負担と出費が均衡しない公共料金などによりこれまで行政の財政が痛めつけられてきました。いまもそうです。(「鉄の女」マーガレット・サッチャーは「お金は天から降るのではなく、地上で稼ぐのだ」と言いました。何でも安くしろ、タダにしろ、と連呼する人々はお金が天から降ってくる、あるいは大企業には打ち出の小槌があり、税金は取り放題である、と思っていますが、あまりに愚かです。)


その他もろもろの要因がありますが、とにかく大きいのは上記でしょう。ここで最悪のシナリオを想像してみましょう。


自治体、特に地方の小規模自治体の多くは瀕死です。一度は市町村合併で息をつきましたが、そろそろ限界です。

合併第二波の影がちらつくのもそういう背景があるからですが、これは間に合わないでしょう。

いろいろな記事でこれまでも指摘しましたが、弱小市町村を切捨てるための準備が進んでいます。切捨てとは、「財政再建団体化→超緊縮財政による福祉等の住民サービスの切捨て」です。

ちなみに、都市部の富裕自治体も国庫負担金・補助金カットなどでさらに追い込まれます。

とにかく、冒頭の報道からはそういう未来がちらちらと見えるのです。

問題はそれがなぜか津軽海峡よりこっちではニュースにならないということ。

みのもんただって、夕張市職員のボーナスを叩いている場合じゃないですよ。

このブログの読者の皆さんだけには、この辺を今後もフォーローしていただければと思います。

いま、まともに自治体危機をフォローしている報道機関は道新だけです