夕張市の不正経理事件と監査委員 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

夕張市の不正経理事件と監査委員

今回の夕張市の一件ですが、監査委員は何をやっていたのでしょうか。

監査委員についてさらっと書きます。

監査委員とは、監査を行うために地方自治法に基づいて設置されている機関です。首長が選任(ここが監査委員制度の最大のネックかもしれません)し、議会が承認すれば監査委員の出来上がりです。ちなみに、議会議員も1人、監査委員になります。

監査委員は、首長とは独立した立場(指揮監督を受けない立場)で監査業務を行います。

監査の中身ですが、財務に関する事務の執行や地方公営企業などの経営に係る事業の管理が、関係法令や予算に基づき適正に行われているかどうかを主眼として実施するのがメインです。その他、行政運営全般について監査することもあります。
地方自治法においては、監査委員が監査を行うにあたっては、「最小の経費で最大の効果を上げるようにしているか」、「組織及び運営の合理化に努めているか」といった点に特に注意する必要があるとしています。

また、市が補助金などを交付している公共的団体、市の出資法人などに対しても監査を行うことができます。

ということで、金融機関や関連団体との金の出入り(金銭の出納)のチェックができるということは今回の不正経理を見抜く可能性があったのは監査委員なのではないかとふと思いました。(もちろん、議員も決算である程度はチェック可能なのですが、監査委員には会計や法律の専門家が入っているのが普通ですから、議員より成果が期待できるのです。)

ところが、夕張市の監査委員という方が一切マスコミに出てきません。

この件について何か知っていたのか、何をやっていたのか、明らかに異常な数値に疑問を感じなかったのか、知りたいと思うのが普通なのですが。

もちろん、よく言われるように「監査委員の監査は犯罪の摘発が目的ではない」のですが、それにしても不思議です。

なお、大規模な一部自治体では包括的外部監査が会計士か弁護士、会計検査院OB(最後の一つは何なのさ・・・)への委託により行われています。この費用対効果や監査人の資質についてはいろいろと議論があるところですが、今後、監査人の経験がつみあがっていくことで実のあるものになっていくと思われます。

ちなみに、市民オンブズマンの全国組織が包括的外部監査について調査を行っています ので、ご参照ください。本質に切り込んで調査・報告しています。